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弁護士会に公益通報相談窓口が設置されました
会報「SOPHIA」令和7年4月号より
公益通報者支援委員会 委員 岩 城 善 之
1 公益通報相談窓口の設置
近年、市民生活の安全・安心を損うような事業者の不祥事が相次いでいましたが、これらの不祥事は、事業者内部の従業員等による外部への通報が契機となって明るみになったものが少なくありません。公益通報窓口は、組織内の不正行為や法令違反行為を早期に発見し、是正するための重要な仕組みです。
そこで、当会においても、公益通報をしようとする人及び公益通報をしたことにより不利益な取扱いを受けた人を支援する相談窓口を設置するべく、令和6年度に公益通報者支援委員会を立ち上げて準備を進め、本年4月1日に「公益通報相談窓口」を設置しました。
同窓口では、主にウェブフォーム(右図参照)
により相談を受け付けており(当会の一般向けウェブサイトと法律相談センターのウェブサイトに入口があります)、相談申込があると、担当者が後日、電話で折り返し、無料で電話法律相談に応じます。相談内容の性質上、匿名での相談を受け付けており、相談申込にあたって必要な情報としては、折り返す先の電話番号のみでも問題ありません。電話相談の結果、担当者が必要と判断した場合には、初回無料の面談相談に進み(この場合は匿名希望であっても氏名を聴取します。また、面談相談は相談員2名で対応します。)、また、別の適切な相談窓口を案内することもあります。なお、当会が公益通報の窓口となり、不正が疑われる事業者等の調査を行ったりするものではありません。また、同様の相談窓口は、東京三会、大阪、京都、仙台、群馬、埼玉、千葉の各単位会にも設置されています。
2 公益通報者支援110番の実施
当会に公益通報相談窓口を設置した広報も兼ねて、4月7日に公益通報者支援110番を実施しました。当日は12件の相談があり、うち2件の相談が面談相談に移行することになりました。面談相談に移行したものは、社内の違法行為について内部通報等をしたもののヒアリングさえ行われずに対応がされなかった事例、社内の違法行為について従業員と話し合いがなされたものの改善がなされず退職者が相次いだ事例でした。いずれの事例も、相談者の話の内容からすると、当該違法行為が行われた蓋然性が相当程度あるにもかかわらず、一方的に対応が打ち切られており、「会社を良くしたい」という従業員の想いに適切に対応してもらえなかった事例のように思われました。
また、ウェブフォーム等を通じた通常の相談申込も本原稿執筆時点で8つ寄せられています。
3 当会の公益通報相談窓口の役割
公益通報窓口への通報は、従業員にとっては、自身の身の安全が本当に保証されるのかという不利益取扱いに対する不安と、会社に揉み消されるのではないかという証拠隠滅の2つの不安を越えなければならないように思われます。また、通報者にとっては、誰に相談するのがよいのか、判断が難しいものでもあります。当会が設置した公益通報相談窓口は、不安を抱えている相談者に有益かつ適切なアドバイスをすることが求められており、当委員会は窓口担当者をバックアップして、相談に対応していきたいと思います。