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出廷不要、民事裁判の本格デジタル化始まる

中部経済新聞2026年6月掲載
出廷不要、民事裁判の本格デジタル化始まる

【民事訴訟手続のデジタル化とは】
ニュースで、民事裁判のデジタル化が本格的に始まったと聞いたのですが、詳しく教えてもらえませんか。
もちろんです。令和8年5月21日から始まった民事訴訟手続のデジタル化では、主に3つのポイントがあります。
まず、民事訴訟の訴状(訴え提起時に提出する書面)や準備書面、証拠等をオンラインで提出できるようになりました。また、これらの書類や裁判所から送られる判決書などもオンラインで受け取ることができるんですよ。
これまでは書類は裁判所に持参したり郵送したりしていたわけですよね。
はい。これまでは訴えを提起するための手数料は収入印紙で納付して、書類を郵送する費用は郵便切手をあらかじめ納めていましたが、今後はそういった手数料等もペイジーで電子納付することになります。
どんどんペーパーレスになりますね。実際の裁判はどう進行するんですか。
2つ目のポイントですね。これは令和6年から先行して始まっていましたが、民事訴訟の期日では、裁判所の判断によってウェブ会議で行うことが可能となっています。
裁判所に行かなくていいのですね。それは便利だなあ。
そして、3つめとして、提出された書面や判決書などが電子データで保管されるため、当事者や利害関係のある第三者であればオンラインで裁判記録を閲覧することができるようになりました。
そうなんですね。でも書類をオンラインで提出するというのは、具体的にどうするんですか。
専用のシステムに利用者登録をする必要があります。利用者登録にはインターネットに接続できる機器や環境が必要であり、氏名や住所、電話番号、メールアドレスや生年月日などを登録することになります。
利用者登録をするとIDが付与されるのですが、そのIDはその後に当事者となるすべての民事訴訟手続で利用できるのですよ。
便利だけどなんだか難しそうですね。もうこれからは紙で書類を出したりできないんですか。
ご自身で裁判をされる場合には、オンライン手続は任意です。ですから、これまでと同様に、紙で書類を提出することも可能ですよ。ただし、我々弁護士や司法書士が代理人として裁判を行う場合にはオンライン提出が義務となっています。
専門家はオンラインへの対応が義務なんですね。
はい、ですから我々弁護士は以前から研修を受けるなど準備をしてきました。
なお、オンライン提出の対象となるのは今年の5月21日以降に訴えが提起された事件です。そのため、オンラインで裁判記録を閲覧することができるのも、この日以降に訴えが提起された事件のみとなります。
今後も我々はオンラインか紙か選べるなら安心ですが、オンラインで民事裁判を行う場合、何かサポートは受けられるんでしょうかね。
裁判所による代理人のいない訴訟のサポートとして、必要な機器がない方のために、一般の方が事件記録を閲覧したりオンライン申立てや法廷等で利用することができる貸出用のパソコンを整備したり、利用者登録などについて必要に応じて個別の説明をするといったサポートは用意されるようですね。
そうなのですね。そういえば、裁判は当事者ではなくても裁判所で傍聴ができると聞いたことがありますが、オンライン化されたということはインターネットで傍聴することができるようになるのですか。
口頭弁論といって公開の法廷で行う手続は、これまでどおり裁判所の法廷でのみ傍聴することができます。オンライン傍聴までは認められていません。
【家事手続や刑事手続は?】
ところで、取引先とのトラブルだけでなく、離婚事件などの調停や、もし従業員が事件を起こしてしまった場合の刑事裁判なんかも同じようにデジタル化されたのですか。
いいえ、今回デジタル化されたのはあくまで民事裁判が対象です。離婚や相続などの家事手続や倒産などの手続については、令和10年6月までに順次オンライン申立ての対象となる予定です。
刑事事件の捜査や裁判も、昨年5月に成立した改正刑事訴訟法に基づいて、令和9年3月末までに順次オンライン化していくことになっていますね。
なるほど、手続ごとに時期やルールが異なるんですね。民事裁判がデジタル化されたことで、会社として気を付けておくべきことは何かありますか。
裁判記録がデータ化されると、裁判で会社の重要な情報が電子データとして扱われることになります。もしものトラブルに備えて、日ごろから契約書や取引の証拠となるメール・データなどをしっかり整理しておくことが必要でしょうね。
そうですね。データの管理体制を見直してみます。オンライン化で便利になっても、わが社は何かあったら弁護士さんにご相談しますからお願いしますね。
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