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中部経済新聞2026年1月掲載
同性婚をめぐる訴訟の行方
中部経済新聞2026年1月掲載
同性婚をめぐる訴訟の行方
【同性婚に関する訴訟の概要】
【現行の婚姻制度】
【婚姻に関する憲法の規定】
【地方裁判所の判断】
【高等裁判所の判断】
【違憲】第1次東京高裁
【合憲】第2次東京高裁
【最高裁判決の行方】
![]() | 先日、東京高裁で同性婚を認めていない現行法を合憲とする判決がでたというニュースをみて、全国で同性婚に関する訴訟が起こっていることを知り、興味を持ちました。 |
|---|---|
![]() | 令和元年に全国の同性カップルらが国に対して同性間の法律婚を認めていない現行制度をめぐり起こした訴訟のことですね。 |
![]() | 全国でどのくらいの件数の訴訟が起こされたのですか。 |
![]() | 同性婚をめぐっては、札幌、東京、名古屋、大阪、福岡の5つの地方裁判所に合計6件の訴訟が提起されました。 |
![]() | 原告らは、訴訟において、具体的にどのようなことを求めているのでしょうか。 |
![]() | 原告らは、同性婚を認めていない現行の民法及び戸籍法の規定は、憲法14条の平等原則、憲法24条の婚姻の自由や個人の尊厳等に反しているとして、国の立法不作為(=同性婚を可能とする必要な立法措置をとらないこと)が違法であり、その結果として精神的損害を受けたと主張し、国家賠償法に基づき損害賠償(慰謝料)の支払いを求めています。 |
![]() | 婚姻制度は、民法や戸籍法の規定により運用されているのですね。この訴訟を理解する前提として、民法や戸籍法の規定や運用を理解する必要がありそうですね。現行のこれらの規定はどのようになっているのですか。 |
|---|---|
![]() | 民法739条1項は「婚姻は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。」と規定し、これを受けた戸籍法74条は、届書に「夫婦」が称する氏の記載を求めるなど、男女間での婚姻を前提とした運用がなされています。役所は、婚姻届を受理する際、法律上の形式要件を満たしているかを審査し、これを満たしていない場合は不受理と扱われることとなります。 |
![]() | なるほど。そのような民法や戸籍法の規定によって、我が国では、婚姻は「夫婦」つまり男女間を前提としたものとして運用されているのですね。 |
![]() | はい。そして、原告らは、この民法や戸籍法の規定が、憲法14条の平等原則、憲法24条の婚姻の自由や個人の尊厳に違反すると主張しているのです。 |
![]() | では、より理解を深めるため、憲法の規定についても確認をしておきたいです。 |
|---|---|
![]() | 憲法14条はいわゆる平等原則に関する規定です。第1項において「すべて国民は、法の下において平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」と規定されています。また、憲法24条は、婚姻の自由などに関する規定です。第1項において「婚姻は、両性の合意にのみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本」とすると規定され、第2項において「配偶者の選択、・・・婚姻及び家族に関する事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定されなければならない」と規定されています。 |
![]() | なるほど。こうして改めて憲法の規定をみると、原告らが現行の民法や戸籍法において同性間の婚姻を認める運用がなされていないことは違憲であると主張していることも理解できますし、一方で、国が男女間の婚姻しか認めていないことも憲法の規定の文言に沿っているように思います。 |
![]() | 各地方裁判所ではどのような判断がなされたのでしょうか。 |
|---|---|
![]() | 各地方裁判所の判決では、違憲とした判決が2件、違憲状態とした判決が3件、合憲とした判決が1件という結果となりました。 ただし、立法不作為が違法だという点については否定されていますので、訴訟としては、いずれも原告らの請求は棄却されました。 |
![]() | では、高裁では、どのような判断がなされたのですか。 |
|---|---|
![]() | 高裁では、社長がニュースでみたという第2次東京高裁の判決の前までに、①札幌高裁、②第1次東京高裁、③福岡高裁、④名古屋高裁、⑤大阪高裁の5つの高裁において、違憲であるとの判決がなされていました。ただし、第一審と同様、立法不作為が違法だという点について否定されていますので、いずれも原告らの控訴は棄却されました。 |
![]() | そうなのですね。より具体的に、違憲とする判決と合憲とする判決がそれぞれどのような理由で違憲・合憲の判決をしたのか知りたいと思います。 |
![]() | わかりました。ただ、違憲とする判決でも各高裁において違反しているとする規定や理由付けは少しずつ異なっており全く同じという訳ではありません。そのため、違憲とする判決については代表して第1次東京高裁について紹介しますね。 |
![]() | 「両性」、「夫婦」という文言を用いる憲法24条の規定をもって、性愛の対象とする相手を人生の伴侶と定めて共同生活を営むという永続的な人的結合関係は性的指向によっては同性間でも成立し得ることを前提とした上で男女間の人的結合のみを法的な保護の対象とし、同性間の人的結合には同様の法的保護を与えないことを憲法が予定し許容する趣旨であると解することはできない。 |
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![]() | 憲法改正当時の社会状況、明治民法が採用していた法律婚制度の制 度設計の問題点、審議経過における議論、憲法24条1項、2項の趣旨・目的及び規定ぶりを総合すれば、同条は、憲法改正当時、社会的承認を受けていた歴史的、伝統的な婚姻形態である両性、すなわち異性の者同士が永続的な精神的及び肉体的結合を目的として真摯な意思をもって共同生活を営む人的結合関係を「婚姻」とし、国会が、その法制度を定めるに当たっての要請、指針として、民主主義の基本原理である個人の尊厳(憲法13条)と両性の本質的平等の原則(憲法14条)を定めたものであって、男女両性は本質的に平等であるから、夫と妻との間に、夫たり妻たるの故をもって権利の享有に不平等な扱いをすることは禁じられることなどを明らかにしたものと解される。 |
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![]() | なるほど。同じ東京高裁でもそのように憲法の規定の解釈が異なったのですね。今後、訴訟は、どのようになっていくのでしょうか。 |
|---|---|
![]() | 最後の第2次東京高裁の判決についても既に上告がなされたようです。よって、今後、各高裁において判断が分かれた憲法違反の問題について、最高裁において、統一判断がなされるであろうと考えられます。 |
![]() | これまで、最高裁で同性婚について判断が出されたことはあるのでしょうか。 |
![]() | いいえ。最高裁は、近年、戸籍や夫婦別姓に関する判決において「家族のあり方は社会の実情によって変動し得る」との意見を述べたことはあるものの、過去、同性婚それ自体について憲法違反を正面から判断したことはありません。 |
![]() | 前例はないということですね。今回、高裁でも判断が分かれていますので、最高裁においてどのような判決となるか、行方は分かりませんね。 |
![]() | そうですね。同性婚をめぐる問題は、我が国の家族制度にかかわる重大な問題です。最高裁においてどのような判決がなされるのか、慎重に見守りたいと思います。 |
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