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ひまるん相談室 ~勤務時間外のアルバイト・副業~

中部経済新聞2026年1月掲載
ひまるん相談室 ~勤務時間外のアルバイト・副業~

【質問】

 従業員から、勤務時間外に他社でアルバイトをしたいとの申し出がありました。副業をめぐる状況について教えてください。

【回答】

 「働き方改革実行計画」(平成29年3月28日)において、「労働者の健康確保に留意しつつ、原則副業・兼業を認める方向で、副業・兼業の普及促進を図る」とされたことを受けて、厚生労働省は、平成30年1月に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を策定し、副業・兼業の促進の方向性や、労働時間や労働者の健康確保等の留意事項をまとめました(令和2年及び令和4年改正)。同ガイドラインにおいては、「副業・兼業に関する裁判例では、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由であり、各企業においてそれを制限することが許されるのは、例えば、①労務提供上の支障がある場合、②業務上の秘密が漏洩する場合、③競業により自社の利益が害される場合、④自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合、に該当する場合と解されている。」とされ、また、厚生労働省のモデル就業規則においては、この整理をもとに、「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。」としつつ、「会社は、労働者からの前項の業務に従事する旨の届出に基づき、当該労働者が当該業務に従事することにより次の各号のいずれかに該当する場合には、これを禁止又は制限することができる。」として、上記①~④と同様の事項を挙げています。

 本業・副業とも雇用で勤務する労働者については、労基法第38条第1項に「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。」とあること、「事業場を異にする場合」とは事業主を異にする場合をも含むとされていることから、本業・副業の労働時間を通算して、時間外労働の割増賃金計算をする必要があります(労働時間規制が適用されない場合を除く)。通算計算を簡略化するため、厚生労働省は、現在、簡便な労働時間管理の方法として管理モデルを公表しています。

 同ガイドラインにおいて、兼業・副業にあたり、労働者から確認する事項としては、①他の使用者の事業場の事業内容、②他の使用者の事業場で労働者が従事する業務内容、③労働時間通算の対象となるか否かの確認、また、これに加えて、当該従業員が労働時間通算の対象となる場合には、⑤他の使用者との労働契約の締結日、期間、⑥他の使用者の事業場での所定労働日、所定労働時間、始業・終業時刻、⑦他の使用者の事業場での所定外労働の有無、見込み時間数、最大時間数、⑧他の使用者の事業場における実労働時間等の報告の手続、⑨これらの事項について確認を行う頻度、について確認しておくことが望ましいとされています。さらに、労働時間規制が適用されない従業員に対しても、過重労働を防ぐ観点から、申告等により就業時間を把握すること等を通じて、就業時間が長時間にならないよう配慮することが望ましいとされています。

 なお、労働基準関係法制研究会労働基準関係法制研究会報告書(令和7年1月8日公表)においては、賃金計算上の労働時間管理と、健康確保のための労働時間管理は分けるべきとの方向性が示されており、今後の法改正の動向に注意が必要です。