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パワハラ防止措置が中小企業でも義務化へ

中部経済新聞2022年3月掲載
パワハラ防止措置が中小企業でも義務化へ

【パワーハラスメント防止措置の義務化】
パワハラ防止法だとか、パワハラ防止対策をとらないといけないとか聞いたんだけど、どういうことなのかな。
それは、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律のことですね。
なんだか長い名前の法律だね。
そうですね。労働施策総合推進法と縮めて呼ばれています。この法律が改正されて、パワーハラスメント防止措置が義務化されました。大企業では、令和2年6月1日から義務化されています。中小企業においては努力義務でしたが、本年4月1日から義務化されます。
中小企業でも義務化になるんだね。うちの会社も義務化の対象に入るのかな。
業種によって中小事業主の範囲は若干の違いはありますが、すべての企業に対して義務化されるとお考えいただいて良いでしょう。
うちの会社でも防止措置をしないといけないということだね。確かに規模が小さければパワハラをしていいというわけではないからね。
【義務化される措置】
4月というともう時間がないけど、どういった措置をとる必要があるのかな。
事業主が雇用管理上講ずべき措置として、いくつかあるのですが、まず、事業主の方針の明確化及びその周知・啓発があります。具体的には、①職場におけるパワハラの内容・パワハラを行ってはならない旨の方針を明確化し、労働者に周知・啓発すること、②行為者について、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し、労働者に周知・啓発することとされています。
パワハラを行ってはならないという姿勢を社内に示すのだね。就業規則については改定が必要になるのかな。
パワーハラスメントの定義は、「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、労働者の就業環境が害されるもの」とされていますので、これをしてはならないと服務規律へ追加し、懲戒事由に当該服務規律に違反したときを追加することが考えられます。就業規則の本文中に規定しても良いですし、就業規則に委任規定を設けて、詳細は別途パワーハラスメント防止規程で定めるという方法もあります。
他にも義務となっている措置はあるかい。
相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備、具体的には、③相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること、④相談窓口担当者が、相談内容や状況に応じ、適切に対応できるようにすることとされています。
相談窓口をどうするか。内容によっては異性には相談しにくい場合もあるよね。
そういった場合もあるので、男女最低一人ずつを担当者にした方がよいでしょうね。
弁護士に相談窓口をお願いすることもできるのかな。
社内の人には相談しにくいということで、社外相談窓口を設けることもあり、弁護士などの専門家に依頼しているところもあるようです。
そうなんだね。
その他の措置は、職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応、具体的には、⑤事実関係を迅速かつ正確に確認すること、⑥速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと、⑦事実関係の確認後、行為者に対する措置を適正に行うこと、⑧再発防止に向けた措置を講ずることとされています。
迅速かつ適切に対応することが求められるので、相談窓口と個別事案に対応する担当部署との連携や対応の手順などをあらかじめ明確にしておいた方が良いですね。また、被害者のメンタルヘルス不調にも注意しましょう。
休職やカウンセリングの制度を整備した方が良さそうだね。
その他併せて講ずべき措置として、⑨相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、その旨労働者に周知すること、⑩相談したこと等を理由として、解雇その他不利益取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発することとされています。
本当にやることがいっぱいあるね。でもパワハラにはうちとしても厳格に対応して働きやすい環境づくりをしていきたいからね。まずは就業規則を見て、どうしたらいいかアドバイスをもらえるかな。他にも社内に掲示する文書や研修についても相談させてもらうよ。
はい、一緒に進めていきましょう。
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