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中部経済新聞2021年12月掲載
インターネット広告など広告表示における規制とは?
中部経済新聞2021年12月掲載
インターネット広告など広告表示における規制とは?
【景品表示法】
インターネットで、おせち料理を注文しようと思っているんだけど、広告の内容と全く違うなんてことにならないか不安なんだよね。広告の内容と同じかどうか分からないからね。 | |
そうですね。そのため、法律による規制があるんですよ。 | |
どんな法律なんだい。 | |
不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)です。 不当表示や過大な景品類の提供など、消費者の判断を誤らせてしまうおそれがある行為を規制しています。 |
【不当な表示の禁止】
不当表示として、どんな表示が規制されているのかな。 | |
①品質や規格などに関し実際のものよりも著しく優良であると示す優良誤認表示、②価格や取引条件に関し実際のものよりも著しく有利であると示す有利誤認表示、③その他一般消費者に誤認されるおそれがあるとして内閣総理大臣が指定する不当表示が規制されています。 |
①優良誤認表示
優良誤認表示と有利誤認表示は、何が違うのかな。 | |
優良誤認表示は、原材料、性能、効果、鮮度などの品質に関する不当表示です。そのため、おせち料理の原材料や鮮度について、著しく優良であると偽った場合には、優良誤認表示となります。 例えば、広告には「キャビア」、「焼き蛤」を「メニュー内容」として記載し、その食材が入っているかのように表示したにもかかわらず、キャビアではなくランプフィッシュの卵を入れ、焼き蛤は入れていなかった場合に、優良誤認表示とされました。 |
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広告で「国内産のA4・5の黒毛和牛のみを使用しました」等と記載していたのに、大部分がA4又はA5等級以外の格付がなされた牛肉を使用していた場合はどうかな。 | |
その場合も、品質や規格に関するものなので優良誤認表示となります。 | |
なるほど。著しく優良であると偽った表示であるというわけだね。 | |
著しく優良かどうかは、一般消費者が実際のものと異なる表示によって、実際のものよりも著しく優良であると認識するかにより判断されます。 | |
なるほどね。ただ、健康食品の効能などの表示が、実際のものと異なるかどうかの判断は難しいのではないかな。 | |
そうですね。そのため、消費者庁は、商品の効果や性能に優良誤認表示の疑いがある場合には、事業者に表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができるとされています。 | |
裏付けとなる合理的な根拠を示す資料とはどんなものなのかな。 | |
試験・調査によって得られた結果や、専門家、専門機関の見解や学術文献などです。事業者がこれらの資料を提出して、客観的に実証された内容であることを示さなければ、不当表示とみなされることになります(不実証広告規制)。 | |
インターネット広告などで効能をうたっている表示があるけど、裏付けとなる資料がないといけないということだね。 |
②有利誤認表示
それでは、価格や取引条件に関する有利誤認表示とは、どういうものかな。 | |
商品やサービスを購入するかどうかを決める際に、価格や取引条件は重要な判断材料となりますよね。 | |
そうだね。この品質でこの価格ならお得だと感じるからね。セールではつい買ってしまうんだよね。 | |
そのため、価格や取引条件について、実際のものよりも、相手方に著しく有利であると誤認されるような表示が有利誤認表示として規制されています。例えば、「当店通常価格」など旧価格を比較対照価格として表示して、50%オフと表示するような二重価格表示を行う場合は、比較対照価格が「最近相当期間にわたって販売されていた価格」といえるものでなければなりません。 | |
なるほど。「当店通常価格」が架空のものであってはいけないということか。 | |
有利誤認表示は、価格を著しく安くみせかけるなど、取引条件を著しく有利にみせかける表示をいいます。 そのため、実際には他社と同程度の内容量しかないにもかかわらず、あたかも「他社商品の2倍の内容量」であるかのように表示することも、有利誤認表示に当たります。 |
③その他一般消費者に誤認されるおそれがあるとして内閣総理大臣が指定する不当表示
そのほか、無果汁の清涼飲料水等についての表示、商品の原産国に関する不当な表示、おとり広告に関する表示、有料老人ホームに関する不当な表示などが規制されています。 |
【過大な景品の禁止】
不当表示が規制されているということは分かったけど、過大な景品も規制されるっていうのは、どういうことなのかな。 | |
消費者が景品に惑わされて質の良くないものや割高なものを買わされてしまうことを防ぐために、一定の制限を設けています。 |
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どのような規制なのかな。 | |
商品・サービスの利用者に対し、くじ等で景品類を提供する懸賞には景品類の最高額、総額を規制しています。また、商品・サービスを利用したり、来店したりした人にもれなく景品類を提供する場合にも、取引価格に応じた限度額が設定されています。 |
【措置命令・課徴金】
では、規制に違反したらどうなるのかな。 | |
景品表示法に違反する疑いがある場合には、消費者庁は事業者への事情聴取、資料収集などの調査を行い、事業者に対し、弁明や証拠提出の機会を与えます。その上で、違反すると判断した場合には、消費者庁は、一般消費者に与えた誤認を排除すること、再発防止策を講ずること、違反行為を取りやめることなどの措置命令を発することができます。 また、事業者が不当な表示をする行為(優良誤認表示、有利誤認表示)をしたとき、消費者庁長官は、その他の要件を満たす限り、当該事業者に対し、課徴金の納付を命じなければなりません。 |
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課徴金の金額はどれくらいかな。 | |
課徴金は売上げの3%とされています。ただ、事業者が所定の手続きに沿って、自主返金を行った場合には、課徴金を減額したり、命じないことにしたりすることができます。 | |
課徴金によって、不当表示がなされないようにしているんだね。 | |
そうです。事業者が利益を上げるために、不当表示がなされるおそれがあるからです。 | |
特に、インターネット広告は表示に影響されやすく、実物を見て確認することができないから、景品表示法による規制が重要となりそうだね。 購入する側も気をつけないといけないということだね。 |
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