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個人情報保護法の改正

中部経済新聞2020年11月掲載
個人情報保護法の改正

個人情報保護法が改正されたみたいだね。
6月12日に公布されましたね。施行は一部を除き公布後2年以内とされています。
施行まで少し時間はあるみたいだけど,詳しく教えてよ。
大きい改正点は,自身の個人情報に対する意識の高まりを背景に,個人の権利が拡充されたということです。事業者にとっては規制の強化となる事項が多く規定されました。
具体的にはどういうことかな。
◆利用停止請求等の要件緩和
まず,本人が,①利用停止・消去または②第三者提供の停止を求めることができる要件が緩和されました。
本人からの請求の場面だね。
はい。現行法では,①利用停止と消去については,利用目的制限違反又は適正な取得義務違反がある場合に限られており,②第三者提供の停止については,第三者提供規制(本人からの同意の取得など)違反に限られています。
 今回の改正法では,これらの場合に加え,個人の権利又は正当な利益が害されるおそれがある場合にも請求できるように要件が緩和されました。
なるほど。事業者としては本人からの請求に応じなければならない場面が拡充されたわけだ。
◆本人からの開示請求の拡充
そうですね。次に,本人からの開示請求に対する開示方法(事業者回答手段)のデジタル化があげられます。
どういうことかな。
現行では,保有個人データの開示方法について,原則として書面の交付による方法とされてきましたが,改正法では,電磁的記録の提供を含め,本人が開示方法を指示できるようになりました。
開示方法として電磁的記録の提供となれば,事業者にとっても事務的な負担が減るかもね。
そうですね。また,開示対象が拡大され、第三者提供・受領時の記録が新たに開示対象とされています。
◆短期保存データについて
そのほか,今まで6か月以内に消去する短期保存データについては,保有個人データの定義から除外されていたのですが,改正法では,保有個人データに含めることとし,開示,利用停止等の対象とされました。
早く消去すればよい,ということではなくなったんだね。
◆オプトアウト規定について
ほかにも,本人の求めがあれば事後的に停止することを前提に,提供する個人データの項目等を公表等した上で,本人の同意なく第三者に個人データを提供できる制度として,オプトアウト制度というのがあるのですが,この制度により第三者に提供できる個人データの範囲が限定されました。
どう限定されたの。
具体的には要配慮個人情報に加えて,別の個人情報保護事業者からオプトアウト方式により取得した個人データ等が,オプトアウトによる第三者提供の対象情報から除外されることとなりました。
なるほど。確かに個人の権利が拡充されているようだね。
◆事業者の責務
そうですね。一方で,個人情報を取り扱う側の事業者の責務も拡充されました。
考え方としてはそうなるよね。具体的にはどうなったのかな。
一定数以上の個人データの漏えい,一定の類型に該当する場合に限定はされていますが,漏えい等が発生し,個人の権利利益を害するおそれがある場合に,個人情報保護委員会への報告及び本人への通知が義務化されました。
他にも,違法又は不当な行為を助長する等の不適正な方法により個人情報を利用してはならない旨が明確化されました。
なるほど。
◆データ利用・活用に関する施術の在り方
一方で,イノベーションを促進する観点から,氏名等を削除した「仮名加工情報」というものが創設されます。内部分析に限定する等を条件に,開示・利用停止請求への対応等の義務が緩和されます。
個人情報保護にも配慮しつつ,柔軟にデータの利用・活用ができるということだね。
◆個人関連情報
そうですね。そのほか,提供元では個人データに該当しないものの,提供先において個人データとなることが想定される情報の第三者提供について,本人同意が得られていること等の確認が義務付けられます。
いわゆるクッキー情報等に対する対策だね。
はい。ほかにも,個人情報保護委員会の命令違反や虚偽報告等に対する法定刑が引き上げられるなど,事業者にとっては,十分注意しなければならない改正内容になっています。
なかなか難しい内容だから具体的な問題ごとに相談させてもらうよ。
そうしてください。今後,この改正法を踏まえたガイドライン等も作成されていくことでしょうから,また情報があり次第,提供しますね。
よろしく頼むよ。
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