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助成金利用し雇用維持を ~新型コロナによる小学校休業への対応~

中部経済新聞2020年4月掲載
助成金利用し雇用維持を ~新型コロナによる小学校休業への対応~

4月7日に新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言が行われたね。新型コロナウイルスの影響で3月から小学校が休校になったから、複数の従業員が休むことになって大変だったよ。
社長、新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金は利用されましたか。新型コロナウイルス感染症に関する対応として臨時休業等した小学校等に通う子どもや、新型コロナウイルスに感染した又は風邪症状など新型コロナウイルスに感染したおそれのある小学校等に通う子どもの世話を行う必要のある労働者に対して、令和2年2月27日~3月31日の間に有給(賃金全額支給)の休暇(年次有給休暇を除く)を取得させた事業主に対して、1日あたり8330円を支給上限として、休暇中に支払った賃金相当額を支給する助成金が創設されていますよ。
しまったなあ。年次有給休暇を取ってもらうか、欠勤としてしまったよ。
労働者に説明して同意が得られれば、年次有給休暇や欠勤を事後的に特別休暇に振り替えた場合でも助成の対象となりますよ。従業員の方が安心して休めるよう有給の特別休暇制度を就業規則で定めてはどうですか。
そうだね、早速話しあってみるよ。3月の途中から春休みに入ったけれども、その分はどうなるのかな。
春休みや土日、祝日など学校の元々の休日の日は支給の対象外です。
半日単位の休暇や時間単位の休暇でも対象になるのかな。
はい、対象となります。ただ、勤務時間の短縮は所定労働時間自体の短縮で休暇ではないので対象とはなりません。
ありがとう。よくわかったよ、それでいつまでに申請が必要なのかな。
申請期間は6月30日までとなっています。また、4月1日から6月30日までの間の休暇についても、助成の対象となることが決まりました。4月1日以降の休暇に対する助成金の詳細は4月15日頃に公表されますのでチェックしてください。
わかったよ。実は、取引先が新型コロナウイルスの影響で休業に入ってしまって、当社の事業も一時的に縮小することになりそうなのだけど、どうしたらよいかな。
新型コロナウイルスの影響で従業員に一時的な休業をさせる場合には、雇用調整助成金が利用できるかもしれません。
雇用調整助成金の要件が緩和されたんだっけ。
はい。新型コロナウイルスの影響を受け、特例措置で要件が緩和されましたが、4月1日から6月30日までの間は緊急対応期間としてさらに拡充されています。
どの程度の影響を受けた場合に助成金が認められるのかな。
販売量や売上高等の事業活動を示す生産指標を前年同月比の減少で確認しますが、3カ月10%以上の低下から1カ月5%以上の低下に緩和されました。
どの程度の規模で休業にする必要があるのかな。
休業規模についても、所定労働日数に対する休業の延べ日数が中小企業で20分の1から40分の1以上に、大企業で15分の1から30分の1以上まで緩和されました。また、午前だけ休業するなど短時間休業の場合は、事業所内労働者の一斉休業が必要でしたが、事業所内の部門、店舗等施設毎の休業も対象とするなど要件が緩和されました。また、最近3カ月の雇用量が対前年比で増加している場合でも助成対象となりましたよ。
それは助かったよ。実は今年度は新入社員を多めに採用したから昨年より雇用量が増加しているんだよ。
そうでしたか、新入社員など、雇用保険被保険者として継続して雇用された期間が6カ月未満の労働者やパート・アルバイトなど雇用保険被保険者でない労働者についても助成の対象となりました。
当社の子会社は設立して半年だから昨年との比較ができず申請できないのかな。
事業所設置後1年以上の要件も緩和されました。この場合、生産指標の確認は提出があった月の前月と令和元年12月を比べることとなります。
たしか、前回の助成金受給から1年経過していないと受給できなかったよね。
特例措置でクーリング期間も廃止されました。また、4月1日から6月30日の緊急対応期間に実施した休業については、1年間に100日の支給限度日数とは別枠で利用できることとなりました。
それなら当社も利用できそうだよ。早速手続きを進めるよ。
社長、通常、助成金を受けるには事前に休業等の計画届を労働局またはハローワークに提出する必要がありますが、今回の特例措置で6月30日まで計画届の事後提出が認められていますから、申請に先立って雇用調整をスタートすることも可能ですよ。
それは助かるね。申請が認められたら、どこまで助成金で負担してもらえるのかな。
緊急対応期間の助成率は中小企業では3分の2から5分の4に、大企業では2分の1から3分の2に引き上げられています。また、解雇等しない事業者の場合はさらに助成率が上乗せされて中小企業は10分の9、大企業は4分の3となります。また、休業をした月に残業がある場合に、支給対象となる休業から残業時間分を差し引く残業相殺制度も当面停止されることとなりました。
助成率がかなりアップしたんだね。これを利用して、なんとか踏ん張ることにするよ。
はい。申請書の記載事項も約5割削減され、添付書類も削減されるなど、申請手続きの負担が大幅に軽減されていますので是非活用してください。

(令和2年4月12日記)