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中部経済新聞 2019 年8月掲載
ひまるん相談室 ~経済的全損 車の修理代は一部しか出ない?~
中部経済新聞 2019 年8月掲載
ひまるん相談室 ~経済的全損 車の修理代は一部しか出ない?~
【質問】
交通事故に遭い、ボンネットが大きく壊れてしまいました。とても愛着のある車なのでなんとか修理し今後も乗り続けたいのですが、車の時価額が50万円で修理代の100万円よりも安いため、修理代は時価額である50万円しか出ないと言われました。納得できません。
【回答】
本来、物が壊されたり傷つけられたりしたときには修理代を相手に請求出来ますが、修理代が物の時価額を超える場合には、その物の時価額が損害賠償の上限となります。このようなケースを経済的全損と呼んでいます。
愛着のある車を修理したいというお気持ちは分かりますが、50万円で同種同等の車が中古車市場で買えるとすると修理代は50万円までしか請求出来ません。
しかし、車の時価額を算定するのに絶対的な基準があるわけではありません。裁判例をみても、根拠として挙げられている資料は様々です。裁判において、中古車を販売するウェブサイトの同種同等の車両の価格が参考にされることもありますので、中古車販売サイトを検索することをお勧めします。
また、近年の裁判例の傾向として、経済的全損であるか否かを判断するために修理代と比較する金額は、単に被害車両の時価額のみとするのではなく、被害車両の時価額に買替えに要する費用を加えた金額と比較する傾向があります。そのため、被害車両を買い替えた場合の買替諸費用(自動車取得税、廃車費用、登録費用等)がいくらになるかもお調べ下さい。被害車両を購入したときの売買契約書や見積書等が参考になることがあります。なお、本年10月には自動車取得税が廃止されますのでお気をつけ下さい。
経済的全損か否かの判断は複雑な問題を含むことがありますので、まずは弁護士に相談いただくことをお勧めします。