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【ちょっとお得】 亡くなった人に相続人がいない場合

中部経済新聞2015年12月掲載
【ちょっとお得】 亡くなった人に相続人がいない場合

【質問】

亡くなった人に相続人がいない場合、故人の財産はどうなるのですか。

【回答】

  • ご質問の場合、家庭裁判所に選任された相続財産管理人により、財産は清算されます。  
    この相続財産管理人は、「相続人があることが明らかでないとき」に故人(被相続人)の債権者などの利害関係人または検察官の請求により、家庭裁判所が選任します。ここで言う「相続人があることが明らかでないとき」というのは、戸籍の記載上相続人が1人もいない場合だけでなく、相続人が全員相続放棄をしたり、相続人が相続欠格事由に該当してしまったために、結果として相続人がいない場合も含まれます。
  • 相続財産管理人とは
    相続財産管理人は、特定の者の利益を実現する立場にはなく、公正迅速に相続財産を換価して債権者に支払いをしたり、相続財産の管理・清算を行います。  
    相続財産管理人の報酬は、原則として相続財産から支払われますが、足りない場合に備えて、相続財産管理人選任の申立てをした者は相当額の予納金を納めることになります。
  • 選任後の流れ
    相続財産管理人は、就任後、まず相続財産の調査を行い、財産目録を作成します。その後、相続財産の債権者、受遺者を確認するための公告を行います。  
    こうして相続財産から支払いを受けるべき者が判明すると、相続財産管理人が相続財産を適正に換価して、債権者等に弁済をするのです。  
    債権者等への支払いにより、相続財産が全てなくなった場合や足りない場合、手続はそこで終了となります。他方、支払い後に残余財産がある場合、改めて相続人がいないか、公告をして探すことになります。ただ、相続人が判明することはあまりありません。  
    相続人として相続財産を受け取るべき者がいないことが確定した場合、被相続人と近しい関係にあった特別縁故者の申立てにより、その者に対して相続財産が処分されることもあります。  
    こうした手続を踏んでも、相続財産を受け取るべき者がいない場合、最終的には、残余財産は国庫に帰属することとなり、相続財産管理人の任務も終了します。
  • いずれにしても、相続財産管理手続にはかなりの期間を要することになります。詳しいことは、お気軽に弁護士にご相談ください。