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中部経済新聞2015年2月掲載
集団的自衛権について閣議決定反対で集会
中部経済新聞2015年2月掲載
集団的自衛権について閣議決定反対で集会
愛知県弁護士会では、先月一七日、名古屋市中区の久屋広場にて「集団的自衛権行使反対大集会・パレード」を主催し、弁護士350名を含む市民の皆さん3000名とともに、栄・大須の町を練り歩きました。当会の会員数は、1790人ですので、実に当会所属弁護士の5人に1人が参加したことになります。
当会の主催するこうした催しに350名もの弁護士が参加するのは数十年ぶりのことで、集団的自衛権に関する各地の弁護士会の取り組みの中でも全国最大規模のものとなりました。弁護士にもそれぞれ政治的信条があり、集団的自衛権に対する考え方も賛成・反対と色々です。しかし、今回は、こうした考え方の違いを超えて、多くの弁護士が抗議の声を挙げました。それは、戦後七〇年に亘り、歴代内閣が踏襲してきた「集団的自衛権の行使は認められない」との憲法解釈を、憲法改正の手続きを経ず、「解釈の変更」のみで実質的に「憲法改正」を図らんとする内閣の政治手法に対する抗議です。
本来、憲法改正を行うには、きちんと国会で議論した上で発議し、国民に提案した上で承認を経るという、立憲主義に則った手続きをとらなければなりません。立憲主義は、国家権力から国民を守るために歴史が発明した手段です。今回の閣議決定は、この立憲主義を根底から覆すものなのです。我々は、法律専門家として、このような内閣の政治手法を許すことはできません。今回の、大集会・パレードでは、当会の歴代会長経験者が発起人となり、各団体にも参加要請を行い企画しました。
参加した弁護士は、「弁護士」と書かれたタスキをかけ、弁護士の象徴であるヒマワリを手に持ち、法廷さながら「異議あり。」と声を出す演出も行い、昨年の流行語にかけて、「ダメ、ダメ。」とのかけ声を出して練り歩きましたが、沿道の人たちからは応援と好評をいただきました。一般参加者の方からも「実行委員長の開会挨拶は,幼少のころの戦争体験に基づく重いものであり、政治的な心情を超えて熱のこもったものだった。」「本業で忙しい中で、主催・宣伝・司会・コールと頑張ってくれた。頼もしいです。」などと好意的な感想をいただきました。参加した弁護士も、「『弁護士』というタスキは斬新だと評判だった。市民の方から、『弁護士がこんなにたくさん頑張っていることに励まされた』と言われた。」と逆に励みになったようです。結果、当日の地元テレビ局や地元紙政治面でも取り上げていただき、手前味噌ですが、アピールには成功したものと思います。
しかし、本当に大切なのはこれからです。当会は、今回の大集会・パレードを契機として、閣議決定の撤回へ向けて更なる活動をしていかなければならないと考えています。本来、弁護士会は政治団体ではなく、政治的中立性を堅持しなければなりません。また、政治情勢は刻一刻と流動的に変化するものであることは理解しています。しかし、立憲主義を根底から覆すような事態に対しては、法律専門家として一致団結して戦っていく必要があります。
今後も、愛知県弁護士会にご期待ください。