愛知県弁護士会トップページ> 愛知県弁護士会とは > ライブラリー > 中部経済新聞2014年08月掲載 
株主総会決議取消の訴え(H26.7月掲載記事)

中部経済新聞2014年08月掲載 
株主総会決議取消の訴え(H26.7月掲載記事)

【質問】

 私はA社の株主です。先日,A社の株主総会決議により私の息子が取締役から解任されていたことを知りました。しかしながら,私は株主総会の招集通知さえ受け取っておらず株主総会に出席しておりません。私のいないところで勝手に決められた株主総会決議に納得できません。株主総会の決議を争うにはどのような方法がありますか。

【回答】

 株主総会の決議の効力を争う訴訟には,株主総会決議取消の訴え,株主総会決議不存在確認の訴え,株主総会決議無効確認の訴えがあります。

【決議取消の訴え】
  1. 株主総会の招集の手続・決議の方法が法令・定款に違反し又は著しく不公正なとき
  2. 株主総会の決議の内容が定款に違反するとき
  3. 株主総会の決議について特別の利害関係を有する株主が議決権を行使したことによって著しく不当な決議がなされたときに、株主、取締役,監査役等は,裁判所に対し、株主総会の決議取消の訴えをすることができます。

 一方で裁判所は,違反する事実が重大でなく,かつ決議に影響を及ぼさないものであると認めるときは,取消しの請求を棄却することができます。株主総会の招集通知は,議決権を有するすべての株主に対して行わなければなりません。株主総会が実際に開かれて決議があったとしても,ご質問の件のように一部の株主に対する招集通知漏れは,①招集の手続きが法令に反しておりますので,そのような株主総会の決議については決議取消の訴えを提起することができます。

 なお,決議取消しの訴えには,期間の制限があり,決議の日から3ヶ月以内に提起しなければなりません。

 決議不存在確認の訴え,決議無効確認の訴えについては次回以降にご説明致します。