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【聞之助ダイアリー】 『弁護団とは』 ~社会問題や人権侵害で正義の実現めざし協力~

中部経済新聞2013年6月掲載 
【聞之助ダイアリー】 『弁護団とは』 ~社会問題や人権侵害で正義の実現めざし協力~

 みなさんは、「弁護団」という言葉を聞いたことがあるだろうか。文字通り、共通の案件について、協力しあって活動する弁護士の集団のことである。

 弁護士は、通常、一人若しくは同じ事務所に所属する弁護士数人で案件の処理にあたることが多い。しかしながら、弁護団が関与する案件では、事務所の枠を超えて多数の弁護士が協力し合い、案件の処理にあたることになる。

 あえて弁護団を作る理由は様々であるが、例えば各種の消費者問題のように被害者が多数にのぼり、少人数の弁護士では対応できない場合や、刑事事件で冤罪を晴らすために多数の弁護士の目で証拠を検討し、調査をする必要があるという場合があろう。

 私も、縁があって、2年ほど前からB型肝炎訴訟の名古屋の弁護団に加入し、活動している。B型肝炎訴訟というのは、幼少期に予防接種を受けた際に、注射の回し打ちがなされたことにより、B型肝炎ウイルスに感染してしまった人に対して、一定の条件の下で国から給付金などが支払われることとなっており、そのための手続として行われる訴訟のことである。

 弁護団に加入して以降、B型肝炎に関する医学的な基礎知識の勉強や、電話相談、個々の患者さんについて訴訟の対応、政策についての改善を求めての国会議員への働きかけなどを行ってきた。通常の案件の処理では経験しない活動も多く、私自身、大変勉強になった。

 弁護団が関与する案件には、社会問題となったような事件の被害者救済が求められているものや、誰かの人権が侵害されていると考えられるものが多い。中には十分な報酬をいただけないケースや、必要経費を弁護士自身が負担しなければならないケースもある。そうした活動は、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする弁護士(弁護士法1条)として大切な活動であるし、私自身、今後も積極的に関わっていきたいと考えている。

 みなさんも、テレビや新聞で、○○被害者救済の弁護団結成の報道や、刑事冤罪事件についての弁護団の会見などをご覧になった際には、弁護士にはそうした活動もあるのだということをほんの少しだけ思い出していただければと思う。

(H・K)