愛知県弁護士会トップページ>
愛知県弁護士会とは
>
ライブラリー >
中部経済新聞2012年11月掲載
【ちょっとお得】 裁判員候補者に選ばれたら4ー制裁と更生、考えた意見を
中部経済新聞2012年11月掲載
【ちょっとお得】 裁判員候補者に選ばれたら4ー制裁と更生、考えた意見を
【質問】
裁判員候補者に選ばれました。私に裁判員が務まりますか?
【回答】
9月号に引き続き、日本弁護士連合会が、裁判員裁判において裁判員となられた方に向け、ご説明している「心にとめておきたい4つのこと」をお話しします。今回は、最後の、「刑罰は報復だけではなく社会でやり直しのチャンスも考慮して」についてです。
裁判員は、評議で被告人は有罪であると判断した場合、被告人にどういう刑罰を科すのが良いか考えなければなりません。
判断の材料としては、審理の最後に、検察官(時には被害者も)や弁護人が、刑に関する意見を述べます。裁判員となったあなたは、それぞれの立場からの意見を公正に検討する必要があります。そのほか、評議室では過去の同じような事件での量刑に関する資料を参照することもできます。こうした情報も参考にしながら、話し合うことになります。
この際考えて頂きたいことは、刑罰には、犯した罪に対する制裁という意味だけではなく、刑務所での生活などを通じて心を入れ替え、更生させるという目的もあるということです。刑を終えた人が社会に戻ってきたときに、罪を犯すことのない健全な社会人として再出発できるよう準備させる役割があるのです。昨今は、この目的が重視され、刑事処遇においても、刑務作業だけでなく、改善指導、教科指導を導入し、更生に向けた細やかな矯正教育を規定しました。
裁判では処遇内容まで決めることはできませんが、刑罰は、制裁であると同時に、更生し再出発するための手段でもあることを十分考えた上で、決めて下さい。