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【聞之助ダイアリー】 「ぴあ・かもみーる」を開設

中部経済新聞2012年8月掲載 
【聞之助ダイアリー】 「ぴあ・かもみーる」を開設

 私が少しだけ関わらせてもらっているNPO法人子どもセンター「パオ」が自立援助ホームであるステップハウス「ぴあ・かもみーる」を開設した。

 これまで「パオ」は、虐待などによって安心できる家庭や居場所がない子どもたちが緊急に避難できるシェルターを運営してきた。シェルターはあくまで一時的に緊急避難する場であるため、利用期間は原則として二週間から二か月程度である。

 シェルターの利用者は十代の女の子であるが、彼女たちは虐待などにより「自分は生きている価値がない」と感じていたり、底知れない孤独感や不安を抱えている。そんな彼女たちがシェルターを出てすぐに自活することは現実的には困難である。せっかくシェルターで落ち着いた生活を送れるようになっても、まだ社会で自立するには早く、たちまち離職してしまったり、パニックに陥り精神科病院に入院してしまうこともあった。

 このような経験をふまえ、シェルターを出た後、ゆっくりと次のステップまでの準備をする場所がどうしても必要であると感じていたところ、心ある方から一軒家を提供していただき、「パオ」の趣旨に賛同して下さる企業や個人の方の支援のおかげで念願のステップハウス「ぴあ・かもみーる」を開設することができた。

 「ぴあ・かもみーる」は、自立援助ホームではあるが、全国的にも珍しく働くことを前提としていない。むしろ、働く前にもう少し時間をかけて、傷ついた心を癒したり、病院に通ったり、資格を取ったり、生活習慣を身につけたりしながら、家庭的な雰囲気の中で心身共に充電して社会に出て行くパワーを付けてもらうことを目的としている。

 「長く助走をとった方がより遠くに飛べるって聞いた」私が好きなMr.Childrenの「星になれたら」の歌詞であるが、ステップハウス「ぴあ・かもみーる」が子どもたちにとって、社会に旅立つための助走の場となることを強く願うのである。

 子どもセンター「パオ」のホームページ http://www.pao.or.jp