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犯罪被害者支援連載シリーズ93 愛知県の犯罪被害者等への新たな経済的支援の制度をご存じですか?

会報「SOPHIA」令和3年7月号より

犯罪被害者支援委員会 委員長 今枝 隆久

1 愛知県の新たな3つの制度


 愛知県では現在、犯罪被害者支援に特化した条例(特化条例)の制定に向けた検討を行っていますが、それに先立ち、4月1日から犯罪被害者等への新たな経済的支援として、見舞金、遺児支援金、再提訴費用助成金の3つの制度が始まっています。


2 見舞金制度について


 殺人等故意の犯罪行為により死亡又は重傷病(精神疾患を含む)を負った犯罪被害者等に対して支給されるものです。
(1)対象となる犯罪
 日本国内又は日本国外にある日本船舶若しくは日本航空機内において行われた人の生命又は身体を害する罪に当たる行為(本年4月1日以降に発生した犯罪被害(過失犯を除く)に限る)
(2)給付が受けられる要件
 犯罪被害の原因となった犯罪行為が行われた時において、愛知県内に住所を有する犯罪被害者及びご遺族
(3)見舞金の種類・給付額・給付対象者
ア 遺族見舞金 60万円
イ 重傷病見舞金 20万円
ウ 精神療養見舞金 5万円


3 遺児支援金制度について


 殺人等故意の犯罪行為により死亡した犯罪被害者の遺児に対して支給されるものです。
(1)対象となる犯罪...見舞金制度と同じ
(2)給付対象者
 次のア、イいずれにも該当する犯罪被害者遺児に対して、申請のあった年度につき1回限り支援金を給付する。
ア 毎年、基準日(5月5日)時点において、愛知県内に住所を有していること
イ 国の犯罪被害者等給付金(遺族給付金)の支給裁定を受けていること
(3)給付額(いずれも1人につき)
ア 乳幼児及び小学校児童 1万5000円
イ 中学校生徒 2万円
ウ 高等学校生徒 2万5000円
(4)給付がされない場合
ア 犯罪被害遺児となった後、基準日時点において養子縁組をしている場合
イ 犯罪被害遺児となった後、基準日時点において父又は母が再婚しており、犯罪被害遺児と生計をともにしている場合


4 再提訴費用助成制度について


 犯罪被害者等が損害賠償請求訴訟を提起し、加害者に対し損害賠償を命じる確定判決を有しているにもかかわらず、加害者から支払を受けることなく消滅時効が迫っている場合において、消滅時効完成前の再提訴費用を助成します。
(1)対象費用・助成額
 再提訴に要する費用のうち、再提訴の際に裁判所に支払う費用で、一つの損害賠償請求につき上限33万円を助成。
(2)助成対象者
 次のア、イいずれにも該当する方
ア 犯罪行為により死亡、重傷病又は精神疾患を負ったことについて再提訴をした方
イ 再提訴をした日において愛知県内に住所を有している方
(3)助成がされない場合
ア 助成対象費用について、国、他の地方公共団体その他の者から助成を受けた場合
イ 犯罪被害者が犯罪行為を誘発した場合
ウ 助成金を交付することが社会通念上適切でないと認められる場合等


5 最後に


 詳細は、愛知県のホームページ(https://www.pref.aichi.jp/soshiki/kenmin-anzen/higaisha-shienkin.html)をご確認下さい。犯罪被害者等の経済的負担の軽減のためご活用をお願いいたします。