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~司法修習生の給費制問題の今とこれから~(8月27日開催)

ココが変だよ!修習給付金制度
~司法修習生の給費制問題の今とこれから~(8月27日開催)

会報「SOPHIA」 平成27年8月号より

司法修習費用給費制復活緊急対策本部 委員 山 下 祐里奈

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1 まだまだ問題が残っています

 去る4月19日、遂に裁判所法が改正され、第71期以降の司法修習生に対しては修習給付金が支給されることとなりました。しかし、給付金の基本額は月額13万5000円と、修習生が修習専念義務のもと経済的不安なく修習を行うには十分とはいえません。また、同じく修習専念義務のもと無給での修習を強いられた新第65期から第70期までの「谷間世代」に対し、何らの手当てもなされていません。このような修習給付金制度の問題点を中心に、司法修習生の給費制問題の今後を市民の皆様とともに考えるべく、市民集会を開催しました。

2 多くの議員も応援!

 本集会開催に際し、愛知県下の国会議員38名中、20名から応援メッセージを寄せていただきました。また、8名(代理出席含む)の国会議員と名古屋市会議員1名にご出席いただき、力強い応援演説を頂戴しました。

3 熱弁や激論飛び交うアツい集会内容

 池田桂子会長からの、修習給付金制度に残された課題について議論しましょうとの挨拶で開会。次に、服部綾子会員から、裁判所法改正経緯、修習給付金制度の内容及びその問題点が説明された後、「当事者の声」として、無給での司法修習を経験した市川哲宏会員、服部ひかり会員、森川聖也会員より、経済的不安からの切り詰めた修習生活の実態、弁護士となっても多額の借金から手弁当での公益活動が制限されることへのジレンマ等、谷間世代の切実な思いが語られました。また、第71期以降に修習予定の同志社大学法科大学院修了生の梅田裕佳子氏からは、修習給付金制度が創設されてもなお経済的不安があるとの問題意識が語られました。
  続いて、新聞記者の方々とのパネルディスカッションが開催され、パネラーに譜久村真樹氏(読売)、天田優里氏(中日)、仲程雄平氏(朝日)をお招きしました。記者の方々から、①国費を使って法曹を養成する意義とは、②弁護士は十分収入があり貸与金を返済できるのでは等の疑問が投げかけられました。。
  これに対し、弁護士側からは、①法曹は三権の一翼の担い手として国民の基本的人権を擁護する国のインフラであること、また、冤罪事件等、誰もがいつでも法的紛争に巻き込まれ得るという点で法曹は身近に必要な存在であること、②弁護士一人当たりの事件数はここ10年で3分の1以下まで減少しているというデータもあり、谷間世代は貸与金返済のためかなり努力しなければならないことが述べられ、白熱した議論が展開されました。。
  そして、新里宏二日弁連給費制対策本部(略称)本部長代行より、日弁連も引き続き頑張っていきたいとの熱い思いが語られた後、纐纈和義当対策本部本部長代行からの、谷間世代の救済及び十分な給付金額を内容とする「真の給費制」実現に向け尽力する旨の決意表明をもって、本集会は閉会しました。

4 おわりに

 新第65期の貸与金返済開始が迫る中、特に谷間世代に対する是正措置の実現は急務です。こうした谷間世代の救済及び修習給付金の適切な金額への増額を実現するため、引き続き活動していきたいと思います。