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第61回日弁連人権擁護大会(青森)が開催されました
会報「SOPHIA」 平成30年 10月号より
会員 服部 千鶴
青森にて、10月4日にシンポジウムが、5日に人権擁護大会が開催されました。
- 人権擁護大会は、青森県弁護士会の人権擁護大会実行委員会の石岡隆司実行委員長の開会の辞で幕を開け、同弁護士会の岩谷直子会長のご挨拶、日弁連の菊地裕太郎会長のご挨拶がありました。
続けて、日弁連人権擁護委員会委員長であり、今大会の運営委員会委員長でもある松本隆行弁護士から、憲法問題、人権問題への日弁連としての取組の重要性、前日のシンポジウムの総括的報告がなされました。
議長に同運営委員会委員長が就任し、議事が開始され、初めに、日弁連の亀田紳一郎担当副会長より、2017年度下期から2018年度上期までの事業活動報告がなされました。 - 「新しい外国人労働者受入れ制度を確立し、外国にルーツを持つ人々と共生する社会を構築することを求める宣言」
日本に在留する外国人労働者、中長期在留者及び非正規滞在者の数は増加を続け、かつ、政府が本年6月に新たな在留資格制度を創設する方針を示し、今後、多くの外国人労働者が日本社会の一員となることが予想される中、人権保障に適った外国人受入れ制度と多文化の共生する社会を構築することが喫緊の課題であるとの問題意識に基づく宣言案です。①人権保障に適った外国人受入れ制度を構築するための施策の実施、②外国にルーツを持つ人々と共に生きる社会を構築し、全ての人に人権を保障するための施策の実施、③上記施策の立案実施のための体制整備を国・地方公共団体に求める内容です。賛成多数で可決されました。 - 「特殊詐欺を典型とする社会的弱者等を標的にした組織的犯罪に係る被害の防止及び回復並びに被害者支援の推進を目指す決議」
特殊詐欺の被害は減少の兆しが見えず、被害者に甚大な経済的被害と精神的被害を与えています。他方、特殊詐欺を敢行する犯罪組織に対し、現状の我が国における民事・刑事の司法制度は脆弱です。かかる現状に対し、特殊詐欺被害者の権利を実質的に保障することを目的とする決議案です。①企業が提供するサービス等の犯罪利用の防止措置等の推進と国・地方自治体の後押しや特殊詐欺対策の取組の強化、②特殊詐欺に係る捜査態勢の拡充や捜査・取締りの推進、③実効性のある被害回復制度の構築、④被害者が実効的に被害の回復を行うことができる法制度の導入の検討等の内容です。共謀罪関係で問題視する強力な反対意見も出ましたが、賛成多数で可決されました。 - 「若者が未来に希望を抱くことができる社会の実現を求める決議」
自己や社会に対する若者の意識状況が低く、結婚して子どもを持つことが、経済的にも仕事を継続する上でもリスクのある選択となっていることや、若者の教育や社会保障に対する公的支出が顕著に低い等の問題意識に基づく決議案です。一人ひとりの若者が自分の人生や生き方を自己決定できる機会を保障し、若者が希望をもって今を生き、自由な再チャレンジが保障されることで未来にも明るい希望を抱ける社会の実現に向けて、国及び地方公共団体に対し、①普遍主義の社会保障・人間らしい労働と公正な分配、②連帯による財源の確保と税制の改善等を求める内容です。賛成多数で可決されました。 - この後、再審事件に関する報告があり、今回の人権擁護大会は幕を閉じました。次回の人権擁護大会は徳島で開催される予定です。