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サマースクール模擬裁判開催 ~暑い真夏の熱い一日~
会報「SOPHIA」 平成28年8月号より
法教育委員会サマースクール部会・模擬裁判チーム長
鈴木 亮
8月5日に開催された模擬裁判は、小学校5、6年生向けと、中高生向けの2本立てでした。
小学生模擬裁判には20名、中高生模擬裁判には36名の意欲ある生徒達が参加してくれました。小学生模擬裁判では、岩田崇仁会員、田中美有会員が、童話の桃太郎を題材とした新作裁判劇を作成しました。「桃太郎は、赤鬼、青鬼が村で悪さをしていると知り、犬、猿、最近村に引っ越してきたペンギンにきび団子をあげ、鬼が島へ鬼退治に行った。しかし、鬼が島に着くと、犬は『きび団子1つじゃ割に合わない』、猿は、『鬼が島に行くと聞いたが鬼退治とは聞いていない』、ペンギンは、『鬼が怖くて強いと知らなかった』と言って逃げだした。鬼達に負けた桃太郎は、『犬達は、きび団子のかわりに鬼退治するという約束(契約)に違反したから、怪我の治療費を支払え』と、裁判に訴えた」という内容です。
※裁判をする桃太郎達
生徒達は、裁判劇をみたあと、グループにわかれ、結論と理由を考えました。議論は白熱し、犬、ペンギンは支払義務あり、猿は支払義務なしという結論がやや多数派でしたが、各立場で反対の結論も出ました。「猿の法廷での立ち振る舞いを見ていると頭が悪そうだから鬼退治なんて聞いていないと思う」、「桃太郎は刀を懐に持っていたから、鬼退治に行くことは全員わかったはず」等、細かな事情に着目した理由が、議論の様子を見守っていた保護者や当会会員を唸らせました。
中学生模擬裁判では、市川哲宏会員、山口裕允会員が、殺意の有無を争点とする刺傷事件という新作裁判劇を作成しました。「先輩芸人が、公園で女性モデルと舞台稽古をしていたところに、後輩芸人がやってきて、手元を体の後ろに隠したまま先輩に近づき、突然、ナイフを取り出した。そのナイフが先輩の腹部に突き刺さり、先輩は、救急車で病院に運ばれた。被害者(先輩)は、『ヤバいよヤバいよ。いきなり刺されてリアルガチで死ぬかと思った』と証言。被告人(後輩)は、『脅すつもりでナイフを突き付けたら躓いて刺さった。殺すつもりはなかった』と供述。そして、目撃者(女性モデル)は『多分躓いていない』と証言。果たして被告人に殺意はあったか」という内容です。
裁判劇では、各役柄のキャラ作りが完璧であり、特に、被告人が「僕イケメン、イケメン、マジでごめん、OK!」と声高に持ちギャグを披露する姿は、本家芸人を超え、生徒達に笑うことを忘れさせるほどの衝撃を与えていました。グループ評議では、凶器の形状、刺し方、傷の深さ、動機、犯行後の行動、各関係者の証言の信用性など、様々な観点から議論がなされており、生徒達は、殺意の有無を認定することの難しさを味わっていました。結論は、どちらかに偏ることなく、殺意有りと殺意無しがほぼ半々に割れ、生徒達が本当によく考えてくれたことが伝わりました。
いずれの企画も、大盛況のうちに幕を閉じました。次年度は、より多くの生徒達に模擬裁判に参加してもらい、考える楽しさを学んで欲しいと思いました。