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いじめ予防出張授業
会報「SOPHIA」 平成28年7月号より
西三河支部会員
子どもの権利委員会 委員 小田 真理子
はじめに
本会の活動を受けて、当支部でも平成27年5月から、いじめ予防出張授業に取り組んでいます。 昨年度は、14校、54クラスの授業を行いました。本年度は、7月1日現在において、既に19校、64クラスの授業が予定されており、今後70クラスまで受け付ける予定です。
いじめ予防出張授業の内容
いじめ予防出張授業は、主に小学6年生、中学1年生を対象にしています。学校側の希望によっては、その他の学年を対象に授業を行うこともあります。1クラスにつき1名の弁護士を当委員会から講師として派遣し、いじめ被害を予防ないし解消するために何ができるかを考えてもらいます。時間は、1コマ(45~50分)ないしは2コマ(90~100分)で行っています。
授業は概ね、①人権について、②いじめとは何か、③実際に起きたいじめ問題について、④心の中のコップの話(人の心をコップにたとえ、いじめる側もいじめられる側も、嫌な気持ちという水が心のコップに増えていくが、その水を減らすためにはどうしたらよいかを考える)、⑤いじめの四層構造(「ドラえもん」を題材に)、⑥講師からのメッセージ、という流れで構成されています。
子ども達の反応
子ども達の反応は様々ですが、どの学校の子どもも皆真剣にいじめについて考えていました。 授業のはじめこそ、緊張でなかなか発言する子は少ないですが、授業が進むにつれて発言をする子が増え、色んな意見を出してくれました。
どの学校でも、実際にあったいじめ問題の話は刺激が強いようで、話を聞きながら涙を流している子もいました。しかし、だからこそ、いじめを真剣に考える契機となっているように思います。 中学校の授業を担当した時には、実際にいじめをしているという子がおり、その子のアンケートには、「実際にあったいじめ問題で自殺してしまった子の話を聞いて、いじめをしないようにしようと思った。」と書かれていました。
そのほかの子も、「いじめられている子がいたら声をかけてあげたいと思った。」「いじめられても仕方がない場合はないのだと分かった。」「いじめはもうやめる。」など様々な意見を寄せてくれました。
私たち弁護士の言葉がどれだけ子ども達に届いているのかは分かりませんが、少しでも子ども達にいじめについて考えてもらうきっかけになれば、こんなに嬉しいことはありません。
最後に
子どもの発達科学研究所の和久田学氏によると、いじめの被害にあうピークは、小学5年生と中学2年生だそうです。とすると、その学年でいじめ予防を始めたのでは遅く、その前までにいじめ予防をスタートさせなければなりません。
現在は、授業内容から対象学年を小学6年生及び中学1年生としていますが、今後、ピークを迎える前の小学5年生以下も対象に授業を行っていくことができるよう、多くの先生方にご参加いただけると幸いです。