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遺言の日記念行事について

会報「SOPHIA」 平成28年4月号より

高齢者・障害者総合支援センター運営委員会 委員
舟橋 拓馬

1 はじめに

 4月15日が「良い遺言の日」であることを受けて、同月17日の13:00~15:00に、中日パレスにて記念行事が行われた。

 記念行事では、当会会員による対談形式でのホームロイヤーについての講演と遺言相続に関する無料法律相談が実施された。

2 ホームロイヤーについての講演

  1.  13:00~14:10に、高齢者・障害者総合支援センター運営委員会の委員である宮本曜爾会員と金森拓也会員の対談形式でホームロイヤーについての講演が行われた。

    ホームロイヤーについての講演

     講演では、①ホームロイヤーとは何か②ホームロイヤーはなぜ必要なのか③ホームロイヤーを利用することでどのようなことができるのか(事例紹介)について、説明が行われた。

  2.  ホームロイヤーは、かかりつけの医師のような存在であり、高齢者と長期的、継続的に関わることで、高齢者のニーズや心身の状態の変化等を把握して、状況に応じた支援を行うことができ、高齢者が住み慣れた地域で暮らすことや、高齢者の自由な意思決定・意思実現を可能にするものである。

  3.  高齢者は、加齢による肉体的・精神的な能力低下に伴う行動の制限や判断力の低下等の問題を抱えている。また、家族の生活やお墓の管理など、自身の死後のことについて様々な意向を持っているものの、その意向をどう実現していけばいいか分からず、不安に思っている人もいる。

  4.  上記の問題に対しては、従前から、任意後見契約や遺言等の対策が行われてきた。しかしながら、弁護士がスポット的に関与するだけでは、高齢者の細やかなニーズを把握することは難しく、また高齢者の状況に応じて細やかな対応をするにも限界がある。

  5.  ホームロイヤーは、定期的な見守りと法律相談の実施、ライフプランノートの作成という3つの事務を基本として、長期的、継続的に高齢者に関わることで、高齢者のニーズや、心身の状況の変化等を細かく把握することを可能にする。

     そして、状況に応じて、財産管理契約や任意後見契約、遺言書作成契約、死後事務委任契約、尊厳死宣言公正証書作成契約等のオプション契約を結ぶことで、高齢者が、住み慣れた地域で暮らすことや、高齢者の自由な意思決定・意思実現を可能にする。

  6.  上記のような説明の後、ホームロイヤーが利用された例として、妻子に先立たれ、自身の死後の墓の管理について悩んでいた男性の例と、障害のある子を監護してきたが、自身の死後の子の監護について悩んでいた女性の例が紹介された。

3 無料法律相談について

 無料法律相談には、当職を含め、19名の会員が相談員として参加した。

 当職が担当した方は、自身の遺産の分配について、相続人全員にとって望ましいような妙案が思い浮かばないと悩んでおり、ホームロイヤーの利用が望ましいと思われた。そこで、その旨を助言したところ、相談者からは記念行事に来てよかったと言われた。