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第11回災害復興支援に関する全国協議会及び現地視察に参加して
会報「SOPHIA」 平成28年3月号より
災害対策委員会 委員
小島 寛司
現地視察
全国協議会の前日、一昨年8月の集中豪雨による土砂崩れの被害が最も深刻な地域のひとつである広島市の安佐南区梅林地区を現地視察しました。
現地の状況を実際に目で見て、率直に復興はまだまだと感じました。現地の方からは、砂防堰堤の建設予定はあるものの、堰堤やそれに伴う道路の建設予定地の住民、それ以外の地域住民への補償は不十分だとのお話がありました。また、住民が安心して住めるまちづくりや今後の防災についても、一番大切な住民の意思があまり反映されていないように感じました。
行政は江戸時代から水害が多発するこの地域の危険性を認識していながら、対応が不十分だった可能性があります。土砂災害防止法自体が、もともと平成11年の広島での豪雨土砂災害をひとつの契機として制定されたものであることも踏まえれば、行政は住民意思を反映したより積極的な補償をすべきではないかと感じました。
全国協議会
全国協議会では、はじめに広島工業大学菅雄三教授から記念講演をいただきました。
菅教授のお話を聞いて、衛星の能力が高くなり、土砂崩れや津波などの被害状況を即時に、かつ正確に把握できるようになりつつあることがよくわかりました。衛星データとその集約システムは、まだ完全に確立しているとは言えませんが、災害復興支援や災害予測にその利用が進められつつあるということに期待を抱いた講演でした。
午後は、各地の弁護士会から、広島豪雨土砂被害、平成27年関東・東北豪雨被害、東日本大震災及び原発事故訴訟・ADRの状況、被災者生活再建支援法改正に向けての活動、災害と「緊急事態条項」制定の問題点等についてご報告をいただきました。
協議会では、最後に災害後の「初動」をテーマに各班に分かれてワークショップを行いました。災害が起きた時に弁護士として何をすべきか、ということを考える良い機会になりました。
災害時には、できるだけすぐに被災地に足を運び、話を聞くということが被災者の精神的安定という点からも重要だと感じました。この際には、相談内容が必ずしも法律問題ではなくても弁護士が各専門家等への窓口としての役割を果たすことも必要です。
また、現在、当会でも災害対策マニュアルを作成していますが、広島の土砂災害では、災害対策マニュアルに対策本部を迅速に設置する旨の規定をおいていたことで災害後すぐ動けたとのことでした。迅速な行動のためには、対策本部を支障なく設置することが肝要だと思います。
今後、東海地方でも大規模災害が起こる可能性がありますし、日頃からの準備を進めていくことが重要だと感じました。