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立憲主義の回復を求める愛知大集会・パレード

3.19違憲の安保法制の廃止に向けて
立憲主義の回復を求める愛知大集会・パレード

会報「SOPHIA」 平成28年3月号より

 昨年9月に安全保障関連法が成立し、3月29日に施行されました。

 当会は、憲法の立憲主義の観点から安全保障関連法案に反対し、昨年1月17日、6月14日、9月5日に憲法集会・パレードを開催するなどの活動を行ってきました。

 法律成立後も法律の廃止に向けて、3月19日(土)白川公園にて「違憲の安保法制の廃止に向けて立憲主義の回復を求める愛知大集会・パレード」を行いました。同集会の集会宣言、集会の意義、当日の様子をご紹介します。

安保関連法の廃止と立憲主義の回復を求める集会宣言

 政府は、昨年、自衛隊法、事態対処法等を改正する平和安全法制整備法案及び新規立法である国際平和支援法案を第189国会に提出し、7月16日衆議院で採決を強行し、参議院に送付、9月19日採決強行し、安保関連法を成立させました。

 しかし、昨年6月4日の「立憲主義」をテーマに開催された衆議院憲法審査会では、三名の憲法学者全員が、集団的自衛権行使を容認する法案が違憲であるとの認識を表明し、また、全国の憲法学者の大半が法案は違憲であるとの意見を表明していました。

 安保関連法の最大の問題点は、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」を存立危機事態とし、日本が攻撃されていない場合に自衛隊の武力行使を認めたこと、すなわち集団的自衛権の行使を認めたことです。

 しかし、日本国憲法9条は、国際紛争を解決する手段として武力行使及び戦争を放棄し、一切の戦力を保持せず、交戦権を認めないことを明記しており、集団的自衛権による武力行使をすることは憲法9条に違反します。

 憲法に違反する安保関連法が、憲法改正手続をとることなく法律によって強行に成立されたことは、日本の最高規範である日本国憲法を蔑にし、立憲主義を否定し、法の支配を根底から揺るがしています。

 本年2月27日、28日、日本世論調査会が、憲法に関する世論調査を実施したところ、政府が憲法解釈を変更し、行使可能とした集団的自衛権について「行使できないとする以前の憲法解釈に戻す」が32%、「行使を容認する憲法解釈変更で対応する現状でよい」が30%、「憲法を改正し、行使容認を明文化する」が28%となりました。憲法解釈の変更による集団的自衛権行使でよいとする意見は30%に過ぎず、仮に集団的自衛権行使を認めるとしても憲法改正で行うべきとするのが28%の意見であると考えることができます。政府が憲法改正手続をとることなく安保関連法を成立させたことに対して、多くの国民が立憲主義に反すると考えていることを示しています。

 安保関連法が成立しても、同法は日本国憲法に違反するものであり、ここに集う私たちは政府に対して、違憲な安保関連法を適用・運用しないように強く求め、立憲主義の回復に向けて今後も同法の廃止に向けた活動を続けます。

2016年3月19日
「違憲の安保法制の廃止に向けて立憲主義の回復を求める愛知大集会」参加者一同