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愛知から世界へ(25) サンパウロ 国外就労者情報援護センターに赴任して

会報「SOPHIA」 平成27年12月号より

会員 永井 康之

4月に大嶽達哉会員の後任として、ブラジル連邦共和国サンパウロ州サンパウロ市リベルダージ区にある国外就労者情報援護センター(CIATE)に専務理事として赴任しました。

1.サンパウロに残る昔の日本

リベルダージの大阪橋にある鳥居
リベルダージの大阪橋にある鳥居

当職の職場があるリベルダージは東洋人街です。日本の食材を扱う店や、日本食レストランが数多く、店に入ると「いらっしゃいませ」と日本語で声をかけてくれます。店内のテレビにはNHKが映っていて、この辺りではあまり外国で暮している感じはありません。
大宅壮一さんは「明治大正の 日本が見たかったらブラジルに観光旅行に行きなさい」と言ったそうです。明治大正とまではいきませんが、日々の生活で古い日本を感じることがあります。あ る人のアパートにお邪魔したときは、30年くらい前の祖母の家を思い出しました。天皇陛下の御真影が飾ってあるのを見つけたこともあります。芸能も盛ん で、先日は生まれてはじめて浪曲の公演を観ました。

2.CIATEでの業務

シンポジウム開始前のアナウンスをする当職
シンポジウム開始前の
アナウンスをする当職

当職の勤務する国外就労者情報援護センターは、ブラジル国外、つまり日本で就労するブラジル人に情報を提供し、その権利を擁護する非営利法人です。デカセ ギブームが生じ、多くの日系ブラジル人が日本に出かけていった90年代初めに、ブラジル政府と日本政府の取り決めに基づいて設立されました。具体的な活動 としては、公的就労経路の提供、日本語教室の運営、研修会の実施、国際シンポジウムの開催、相談への応対等を行っています。大半の業務はスタッフにお願い していますが、当職も毎日5、6件の相談の応対をしています。日本の年金に関する相談が多く、中には相続や、離婚、ご家族が日本で逮捕されたというような 法律相談もあります。
シンポジウム開始前のアナウンスをする当職ある相談者と話をしていたとき、金利の話になりました。当職が、「ブラジルは銀行預金の金利も高いですよね」というと、その人は「いや、安いです。1%く らいですよ」と言います。ブラジルの公定歩合は年14%です。不思議に思ってよく聞いてみると、1%というのは月利でした。ブラジルでは月ごとに複利計算 されるので、例えばリボルビング払いでは年400%もの金利が生じます。月利1%はブラジルの人の感覚では安いのですね。
ブラジルは日本と同じ制定法の国ですが、日本との制度の違いに驚かされることが多いです。任期中に、もっとポルトガル語の能力を高めて、ブラジルの社会や司法についての知見を深めたいと思っています。