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サクラサイト被害全国一斉110番実施される

会報「SOPHIA」 平成27年9月号より

消費者委員会 委員
鵜飼 雅成

1 実施概要

 9月15日午前10時~午後4時、サクラサイト被害弁護団(愛知)との共催で、サクラサイト被害全国一斉110番が実施されました。全国一斉の110番は今回が6回目となり、9月14日から9月16日にかけて、全国36地域で実施されました。

2 サクラサイト被害とは

 サクラサイト被害とは、出会い系サイトや占いサイトなどのサイトにおいて、サイト業者に雇われた「サクラ」が、異性、芸能人、社長等になりすまし、消費者の様々な気持ちを利用し、メール交換等の有料サービスを利用させるという手口により、消費者が多額の金銭被害を負わされてしまうものを指しています。
 具体的には、出会い系サイトなどメッセージ交換が有料のポイント制になっているサイトを舞台に、「異性に会いたい」「芸能人に会いたい」「相手の相談に乗ってあげたい」「副業収入を得たい」「運気をあげたい」などの消費者の気持ちを利用し、多数のメッセージの送受信や連絡先交換の手数料などのためにポイント購入を重ねさせるという形で、多額の金銭被害を生じさせています。
 国民生活センターの報道発表によれば、サクラサイト被害は、平成19年ころから増加を始め、平成21年には、被害申告件数が2000件を超えるなど、多数の被害を生じさせています。

3 110番の目的

 サクラサイト被害では、近時、サイト運営会社の所在地が海外とされていたり、決済方法の面では、サーバー型プリペイドカードによる匿名性の高い決済方法が利用されていることなどが原因で、サイト運営会社の特定ができず、被害救済が困難となる例が増加しています(サーバー型プリペイドカードを利用した詐欺被害については、国民生活センターのHP上でも「プリカ詐欺に注意!」として注意喚起されています)。
 今回の110番は、相談者の被害救済はもちろんのこと、このような新たな被害事例の収集や注意喚起による被害の事前予防も目的として実施しました。

4 相談の結果から

 愛知での相談件数は2件でしたが、全国では20件近い相談が寄せられた地域もありました。
 愛知での相談内容の中には、1年弱の間に300万円を超える被害に遭った事例の相談があるなど、依然として高額被害に至る事例のあることが分かります。

5 最後に

 愛知では、普段からサクラサイト被害弁護団が相談を受け付け、被害救済にあたっていることもあり、110番の相談件数自体は多くはありませんでした。もっとも、弁護団への相談件数は、ここ数年横ばいの状態にあり、被害が無くなったとはいえません。
 今後も、110番等を通じ、サクラサイト被害の救済のみならず、被害の存在や手口を広く周知し、被害の予防にもつとめていきたいと思います。