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中高生向け模擬裁判「フィギュアスケート場窃盗事件」

小学生向け模擬裁判「赤ずきんちゃんのその後事件」
中高生向け模擬裁判「フィギュアスケート場窃盗事件」

会報「SOPHIA」 平成27年8月号より

法教育委員会 委員
長坂 早余子

サマースクール最終日

サマースクール最終日は、毎年恒例の刑事模擬裁判。昨年からはじまった「小学生向け模擬裁判」とすでに10年以上の歴史を重ねる「中高生向け模擬裁判」の二本立てです。
 中高生向け模擬裁判は、近年、参加生徒数に若干の減少傾向が見られたことから定員を見直してより中身の濃い評議を実施することも検討されましたが、例年通りの募集を行ったところ、なんと80名を超える生徒の参加がありました。小学生向け模擬裁判も、募集開始早々に定員に達する盛況ぶりでした。

1 小学生向け模擬裁判

 昨年は、福井弁護士会のご協力の下、同会のシナリオをお借りしましたが、今年は当会のオリジナルシナリオを作成しました。
 「赤ずきんちゃんのその後事件」と題し、過去の悪行を反省してよい子になったオオカミがおばあさんのお手伝いをしていると...と始まる童話劇を行った後、被告人赤ずきんちゃんと被告人オオカミの模擬裁判劇を行いました。オオカミとおばあさんが流行のギャグを言い合えば笑いが起き、反抗期を迎えた赤ずきんちゃんの迫真の演技に息を呑むなど、どの子も弁護士の演技に釘付けの様子でした。
 その後、子ども達に評議を行ってもらい、最後にグループ毎の発表を行いました。対象児童が小学5、6年生であることから、事実認定上の争いはなくし、処罰すべきかどうか(刑法上の議論としては、正当防衛と緊急避難の成否)について考えてもらいましたが、どのグループも議論が盛り上がりました。
 子ども達からは、「劇がとても面白かったし、みんなと意見を出すのが楽しかった。」「色々な人の意見が聞けて、みんな意見が違っているのがとても面白かった。」等、嬉しい感想が聞かれました。

2 中高生向け模擬裁判

 中高生向け模擬裁判は、とあるスケート場の控室で発生したペンダント等窃盗被告事件です。若手委員が事前練習を重ねた成果を発揮し、当日は、ナルシスト被害者、ぶりっ子目撃証人、泣き虫被告人の演技が光りました。2時間以上の長時間にわたる模擬裁判劇でしたが、どの生徒も、コミカルかつ迫力ある演技に魅了され、居眠りすることなく真剣に傍聴していました。昨年に引き続き、生徒からの補充質問タイムを長めに確保したところ、鋭い質問が途切れなく出されました。
 午後の評議では、被告人の犯人性について議論を行いました。中学生グループは、目撃証言が信用できないとの理由により無罪派が多数を占めましたが、高校生グループでは、被害品の近接所持の意味や被告人の弁解の不合理性等に気づき、深い議論が行われました。
 参加生徒からは、「他の人の意見を聞いたり、自分の意見を述べたりするのは新鮮で面白かった。」「有罪か無罪かの立ち位置をどうするかで見えるものが違って、見るものを変えると考えられる真相が変わってくることが体験できた。」等の感想が聞かれました。