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体験講座 「ティーン・コート(子ども裁判所)」開催されました

会報「SOPHIA」 平成27年8月号より

法教育委員会 委員 倉田 敬利

ティーン・コート(子ども裁判所)

8月5日午後、ティーン・コート(子ども裁判所)が開催されました。今年は、中学生18名、高校生10名の参加があり、中学生のみの法廷と、高校生に中学3年生が混ざった法廷の2つの法廷が開廷されました。
 事件の概要は、『女子中学生東山さんが、ある日の授業後、同級生の田口君のバスケットボールシューズ(バッシュ)を部室のロッカーから盗んでしまったため、田口君は最後の大会でその靴を使用できず、男子バスケチームが敗退してしまった』というものです。
 参加者は、裁判官役、検察官役、弁護人役に分かれ、東山さんが今後同じようなことをしないようにするためどうしたらいいかを決めるため、それぞれの立場から熱心な活動を繰り広げました。

1 打合せ

 まず、参加者は、検察官役は田口君役の会員と、弁護人役は東山さん役の会員と打合せをしました。
 この事件には、事件前、田口君からの一言により両名が口論となり、その際に、東山さんの鞄に付いていたお婆ちゃんの形見のキーホルダーが壊れてしまった等々の参加者には事前に知らせていない裏事情がありました。弁護人役は東山さん役の会員から、検察官役は田口君役の会員から、これらの事情に関する双方の具体的な言い分をしっかりと聴取しており、感心しました。

2 尋問

 尋問の場では、打合せの際聴き取った事情を引き出すため、参加者それぞれが工夫しながら質問をしていました。そして、各立場からの論告・弁論に必要な事情をしっかりと聞き出していました。
 尋問時間が少し経過したところ、裁判官役から「あと質問はどのくらい続きますか」との厳しくも的確な訴訟指揮があり、感心するとともに、私が質問者であれば冷や汗ものだなと思いました。

3 処分結果は

 評議では、中高一貫校であるため両名の関係は今後も続く、東山さんはバッシュを返却しているから反省はしているようだけど、大切なキーホルダーを壊されているから田口君に一方的に謝罪することはできない等々の事情に、裁判官役はとても悩んでいました。
 評議の結果、「東山さんがまず謝罪し、その上で田口君も謝罪する」、「東山さんは田口君に新しいシューズ代5000円を支払う」、「田口君は東山さんのキーホルダーを補修する」等、東山さんと田口君が仲直りするための具体的な方法を処分として言い渡しました。

4 最後に

 最後に、参加者の感想を聞いたところ、「東山さんと田口君の処分のバランスを取るのが難しかった」等の意見があり、実際の法廷で私たちが悩んでいることと同じような悩みを抱いてくれてよかったと思いました。
 また、「去年とは異なる役で参加でき、違った視点でよかった」という昨年も参加してくれた参加者に出会えたのは、嬉しかったです。