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愛知から世界へ(21) 初めての国連会議に圧倒されました!
~カタール国ドーハでの 第13回国連犯罪防止・刑事司法会議に参加して~
愛知から世界へ(21) 初めての国連会議に圧倒されました!
~カタール国ドーハでの 第13回国連犯罪防止・刑事司法会議に参加して~
会報「SOPHIA」 平成27年7月号より
国際委員会 委員
土居 竹美
- 4月12日~19日までカタール国ドーハにて第13回国連犯罪防止・刑事司法会議(UN Crime Congress)が開催されました。同会議は5年に一度開催される犯罪防止・刑事司法分野における国連最大の国際会議です。個人でも参加できるのですが、今回は小職自身が会員になっている国連NGOである公益財団法人アジア刑政財団のメンバーとして同会議に出席しました。同会議は、各国の高官レベルから実務者、NGO、学者まで刑事司法関係者が一同に集まる大きな会議です。参加者は、140国以上の国・地域からおよそ2300人にのぼりました。
- Congressは大きく分けて全体会議・ワークショップ・サブミーティングの3つに分かれます。高官レベル級の会議から実務者等のサブミーティングまで多種多様な会合が連日開催されます。今回は特に実務者としてサブミーティングを取り上げたいと思います。
サブミーティングは、様々な国際機関、各国政府の各種機関、NGO、民間企業等が主催者になっていました。内容は、インド洋上での密輸の取締りの法整備の必要性から死刑制度に至るまで多種多様です。
なお、日弁連もサブミーティングを主催し、国選弁護制度の発表をしていました。中東の参加者からは「弁護人の質」に関心が寄せられていました。
法整備支援に関しては、発展途上国においては刑事司法制度が確立していないために、被疑者・被告人の拘束期間が長期間に及ぶことも少なくありません。また拘禁場所の居住状況についてもよくありません。このような刑事司法に関する法整備支援の必要性や成果等の発表がなされました。
組織犯罪対策に関しては、中南米に関するサブミーティングが印象に残りました。特に麻薬戦争の最中であるメキシコは精力的に発表を行っていました。また、あるサブミーティングでは、政府と市民団体がともにセッションを行っており、組織犯罪対策において、市民側からの参加の必要性を痛感しました。麻薬絡みで、毎日のように市民が犠牲になっている現在、彼らはこの重大問題に正面から取り組んでいます。組織犯罪対策については、捜査機関だけでは限界があり、刑事司法における市民参加、つまり一般市民の力が重要であることを再認識しました。また、NGOをどのように政府がサポートするのかという内容のセッションは満員でした。結果として小職自身の組織犯罪対策に関する論文のテーマを見つけることができました。 -
次回のCrime Congressは、2020年、日本での開催が決定しています。ドーハでは地元の関係者が精力的に多くの発表を行っていました。このような場において、多様なフィールドを持つ弁護士として、他国の関係者と意見交換を行うことは大変貴重な機会なのではないかと思います。小職も、微力ながら次回何らかの形で貢献できるよう努めたいと思います。海外業務に関心ある方は、積極的に国際会議や国際業務の「経験」をされることを推奨いたします。必ず得られるものがあります!
最後に、大変貴重な経験をさせていただいた関係諸氏に心から感謝し、御礼申し上げます。