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愛知から世界へ(19) サンクトペテルブルク国際会議

会報「SOPHIA」 平成27年7月号より

国際委員会 委員長
小川 晶露

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 5月25日から29日まで、サンクトペテルブルク国際会議とロシア連邦弁護士会の年次大会に参加してきましたので、ご報告申し上げます。

 日弁連は、昨年のIBA東京大会の機会に、ロシア連邦弁護士会(FCLRF)と友好協定を締結しましたが、今般、同協定に基づく交流の一環として、ロシア連邦共和国の美しい古都サンクトぺテルブルクを訪問いたしました。

 個人的には、サンクトペテルブルクを訪問するのは、今回が4回目であり、このリーガルフォーラムと年次大会には昨年から参加しています。

 ロシア弁護士制度の創生(1864年)から150周年記念を迎えた昨年度(2014年)に比べると、本年度の年次大会は、若干規模が小さくなっていた模様ですが、招待された他国弁護士会からは(さすがに、昨年のように、ウクライナ国からの参加はありませんでしたが)、ドイツ、フランス、イングランド&ウェールズ、スイスの弁護士会の役員(会長、副会長等)が出席していました。ロシア連邦共和国では、司法の独立強化が近時の重要なテーマとなっており、本年度は、「Strengthening the Independence of the Judiciary and the Adversarial System」(司法の独立と対審構造の強化)がテーマでした。

 他方、国際リーガルフォーラムの方では、5月28日、29日の2日間で、約60のセッションが組まれており、内容的には、投資やビジネスが比較的多くを占めていました。

 私が話したセッションは、『倒産における債務者と企業体の保護』というもので、パネリスト6名、モデレータ1名という構成でした。

 ロシアでは、昨今のルーブル大幅下落により、倒産件数が劇的に増加することが深刻な問題として認識されており、倒産法は非常に重要なテーマとして位置づけられ、会場も聴衆で満席になっていました。

 ロシア倒産法には、いわゆる再建型スキームとしては、昔の日本でいうところの和議のような手続があるだけであり、原則として債権者全員の同意を必要とし、裁判所の関与も限定的な範囲にとどまります。

 私からは、日本国における再建型手続(民事再生法、会社更生法)の概略と実務事例を紹介しました。国民性を反映してか、パネリストが発表中でも、聴衆側から熱心に質問や意見が出され、モデレータも苦心している模様でした。

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 最後に、期の若い皆様に申し上げたいのは、どの国際会議でも、日本人スピーカーの中にビジネスを話せる人は多くても、人権擁護や刑事法・家族法を話せる人はほんの僅かであることです。しかし、日本人弁護士の多くが、実は日常的にこれらの業務を取り扱っていて、この点は町弁の強みでもあります。私がサンクトペテルブルクで話すようになった最初のテーマも実は少年法と手続保護でしたが、そこからテーマを問わず声が掛かるようになりました。本年度は、あと1~2回程度、国際会議で話す予定です。