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愛知いのちの電話協会に決まる

平成24年度人権賞
愛知いのちの電話協会に決まる

会報「SOPHIA」 平成25年1月号より

人権擁護委員会 人権賞小委員会 委員 松 山 健

 平成元年に創設された人権賞は、人権救済 や人権思想の普及その他人権擁護のための活動をしている個人・団体を表彰するもので、本年度で24回を数えます。例年、市民から候補者の推薦をいただき、 人権賞小委員会委員が各候補者の調査を行い、選考委員(外部委員と当会会員で構成)が審査します。

 本年度の人権賞は、「名古屋いのちの電話」(社会福祉法人愛知いのちの電話協会)への授賞が決まりました。

平成24年度人権賞  愛知いのちの電話協会に決まる 愛知いのちの電話協会の兼田智彦事務局長(左)と小山勇理事長(右)

1 活動内容

 名古屋いのちの電話は、電話相談により自殺防止活動を行う団体です。

 自ら命を絶とうとまで追い詰められ、生きる意欲を失った人の悩みに、 善き隣人として相談に乗ることで、少しでも心の重荷を降ろし、生きる意欲を見出す手伝いをしたいという理念の下、年中無休24時間体制で、利用者も相談員 も匿名とし、利用者からの電話に研修を受けたボランティア相談員が同じ市民として悩みを共有するという姿勢で利用者が心にため込んだ悩みを吐き出してもら うという活動を行っています。

2 活動の歴史

 この活動はイギリスで1953(昭和28)年にできた「サマリタンズ」(善きサマリア人の意)が始まりで、日本でも1971(昭和46)年に東京でいのちの電話が始まり、名古屋いのちの電話は1985(昭和60)年に全国23番目のいのちの電話として活動を開始しました。

 その後、日本では1997(平成9)年以来、毎年自殺者数が3万人を 超える数字で推移する時期が始まり、愛知県でも同時期から、毎年1500人前後で推移してきました。2006(平成18)年には自殺対策基本法が施行さ れ、愛知県も2008(平成20)年に「あいち自殺対策総合事業計画」を策定し、行政の取り組みも行われてきました。

 先ごろ警察庁が2012(平成24)年の自殺者数速報値(2万7766人)を公表し、15年ぶりに自殺者数が3万人を下回ったとして報道されたところです。名古屋いのちの電話の活動は、実に28年以上の長きに亘る地道なものです。

3 感想

 自殺者数が3万人を下回ったタイミングで名古屋いのちの電話に授賞が決まったことは意義深いものを感じます。

 日ごろ、ボランティアの相談員の方々は、ときにいたずら電話や嫌がら せ電話への対応にも苦慮しながら、利用者の生死に関わる深刻な悩みに関わっていらっしゃいます。自殺を考えるまで追い詰められている利用者からは感謝され ることも多くはなく、ときには電話先で自殺を実行され、何も手を打てないもどかしさや虚しさを味わうこともあるようです。報われることが乏しくとも隣人の 命のために力を注ぐ精神には本当に頭が下がります。

 受賞により社会的認知度がさらに向上し、より充実した相談体制が整い、より多くの人がいのちの電話の存在を知り、電話相談によって「いのち」が救われることを願っています。