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子どもの事件の現場から(238) 子ども食堂は、今...
会報「SOPHIA」令和5年5月号より
あいち子ども食堂ネットワーク
代 表 忠 平 守
1 はじめに
あいち子ども食堂ネットワークは、子ども食堂運営者40数団体が運営の悩みの相談やノウハウを共有する場として、2017年6月に発足しました。この間、会員子ども食堂は新型コロナ感染による影響等を受けつつも色々と工夫をして活動を継続し、また、新たに子ども食堂を開始する団体等も迎えることで、加入団体数も年々増加し、現在は200団体を超えるようになりました。
2 子ども食堂とは?
いわゆる「子ども食堂」は、2012年に東京都大田区で始まったと言われており、その後、全国各地で共感の中で取組が広がり、民間団体の調査では、昨年には全国で7300か所を数えるほどになっている、とのことです。
子ども食堂も、取組が始まって数年は、2013年に成立し翌年に施行された「子どもの貧困対策の推進に関する法律」により子どもの貧困問題に社会の関心が高まっていたこともあり、子どもの貧困対策という側面が強調されて、その開催状況などが報道されることが多かったように思います。
当ネットワーク会員からも、「小学生の女の子が子ども食堂で食事をしていたら、高校生ぐらいのお兄ちゃんが、『うちはここでご飯をたべていい家ではないから』と、女の子の手を引いて帰ってしまった」というエピソードを聞いたことがあります。
3 変化する子ども食堂
子ども食堂を開催し続けると、参加する子どもや家庭が抱える課題に子ども食堂のスタッフが気づくことがあり、食事提供以外の取組を進めた子ども食堂もあります。少し気になる子の見守り、勉強が苦手な子に対する学習支援、ひとり親家庭の保護者がほっとできる場の提供、高齢者と子どもの交流、夏まつりやクリスマス会のイベント開催等、地域の実情に応じて子ども食堂は変化し、子どもの貧困対策という枠を超えて、地域の多世代交流の場として、多様な取組が進みました。
2023年4月、国においては、「こどもまんなか社会」の実現を目指して、こども家庭庁が発足し、子ども食堂の所管も、厚生労働省からこども家庭庁に移りました。
子ども食堂に期待される役割も、従来の困窮世帯への支援や困難を抱える子どもや家庭の見守りに加えて、「子どもの居場所」としての役割も期待されるようになっています。
4 新型コロナ感染拡大の影響、そして回復へ
順調に進んでいた子ども食堂活動ですが、2020年以降は、新型コロナ感染拡大により大きな影響を受けました。まん延防止等重点措置が取られている間は、公民館等の開催場所が閉鎖されたり、運営者の判断で開催を見合わせたりして、対面での子ども食堂の開催は大変困難な状況となりました。それでも、それまで子ども食堂に通ってきた家庭とつながり続けるために、対面による開催に替えて、お弁当配布やフードパントリーによる食料提供等に取り組んだ子ども食堂も多くありました。
その新型コロナ感染も、ようやく収束に向かいました。多くの子ども食堂では、食材費等の高騰に頭を悩ませながらも、会食形式での子ども食堂を再開しはじめています。
この拙稿をお読みの皆さまには、ぜひ、予約の要否など参加方法をご確認の上、お近くの子ども食堂に足を運んでいただき、その取組を体験していただければと思います。