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~生活困窮者に対する本当の意味での「ワンストップサービス」とは~

岡崎市で「雇用と生活」無料法律相談会を開催
~生活困窮者に対する本当の意味での「ワンストップサービス」とは~

会報「SOPHIA」 平成21年12月号より

多重債務対策本部事務局次長
人権擁護委員会生活保護問題部会長  森  弘 典

1 相談会の趣旨

 11月8日(日)、名鉄東岡崎駅にある岡ビル百貨店3階で、当会、日本弁護士連合会の主催、日本司法支援センター愛知地方事務所、愛知派遣村実行委員会、厚生労働省、総務省の後援で、第3回「雇用と生活」無料法律相談会を開催しました。非正規雇用労働者、失業者、野宿者などの生活困窮者を対象として弁護士会主催で無料法律相談会を行うのは、7月15日にフリーダイヤル方式で開催した電話相談、8月2日に刈谷市民会館で開催した面接相談に続き3回目です。これ以外、弁護士会は、3月21日、22日(岡崎)、4月26日(知立)、5月31日(豊橋)、10月4日(豊橋)、11月26日(子ども・女性・ひとり親世帯生活ホットライン)とほぼ毎月のように相談会に関わっています。それは、言うまでもなく、2008年秋以降の経済情勢、雇用情勢により、特に製造業が盛んな愛知県で、全国の都道府県で群を抜いて非正規雇用労働者の失職者が多く、その影響が最も深刻だったからに他なりません。

2 岡崎市との事前協議

 岡崎市で相談会が行われたのは2回目です。3月に愛知派遣村実行委員会の主催で相談会が開催されました。しかし、当会の弁護士が実際に生活保護の申請同行を行う中で、申請後、生活保護が開始されるまでの生活費や住居に困る、市から紹介された一時的な居所の事業主体から多額の「諸費用」を控除され生活できない、生活に困窮しているのに生活保護ではなく「貸付」が優先されるなどの問題が発生しました。そこで、生活保護申請が円滑にできるようにするとともに、よりよい生活保護行政が確立されるよう、事前に岡崎市に協議を申し入れ、9月30日に同市役所内で協議しました。2時間以上に亘り協議し、岡崎市からは法律および生活保護運用の基準となる実施要領に従って対応する旨の回答を得、当初の目的をほぼ達成しました。

3 事前勉強会

 10月29日には当会西三河支部で相談員、ボランティアを対象とした事前勉強会を開催しました。

4 相談者数41名、要生活保護者13名

 相談者は41名でした。そのうち、13名が所持金もなく生活保護の申請が必要でした。解雇に伴い住居を失う労働者、解雇後依然として仕事が見つからず雇用保険も切れ生活に困窮している労働者が多く深刻な状況でした。相談員としては、当会の弁護士14名のほか、司法書士、社会保険労務士、医師、看護師などの専門職者が関わり、労働組合、支援団体のほか、市民の方々の協力を得ました。

5 相談会、ワンストップサービスの意義

 今回も、弁護士会主催で、一か所で生活に関する相談ができるワンストップサービスを提供できたことに大きな意義があったと思います。その後、政府は11月30日にハローワークで試行的にワンストップサービスを実施しましたが、その場で生活保護申請が受け付けられない、生活困窮者に対して生活保護より他の施策が優先されるなどの問題があり、まだまだ本当の意味でのワンストップにはなっておらず、専門職、各種支援団体、市民の力を結集して行う相談会、そのつなぎ役である弁護士会の役割は重要だと思います。引き続きご協力お願いいたします。