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ひまるん相談室 ~子のいない夫婦の相続対策~

中部経済新聞2026年6月掲載
ひまるん相談室 ~子のいない夫婦の相続対策~

【質問】

 私と妻の間に子はおらず、それぞれの両親も既に亡くなっています。私には兄弟姉妹がいますが、最近はほとんど交流もありません。このような状況ですから、私と妻の二人で築いてきた財産は、私が死ねばすべて妻のものになると思っています。そのような理解で間違いないですか。

【回答】

 近時、共働きで子どもを持たない夫婦のことをDINKs(ディンクス)と呼び、生活スタイルの多様化の中で、DINKsの世帯数も増加傾向にあると言われています。ご質問にあるようなお考えをもつご夫婦も少なくないかもしれません。

 ところが、我が国の民法では、人(被相続人)が死亡すると、①配偶者は常に相続人となり、②子が第一順位、父母が第二順位、兄弟姉妹が第三順位の法定相続人になるとされています。その結果、ご質問にあるような親族構成の場合、配偶者と第三順位の兄弟姉妹の組み合わせとなるため、兄弟姉妹のグループに四分の一、配偶者に四分の三という法定相続分が認められることになります(なお、民法では、兄弟姉妹の子、すなわち甥・姪までの代襲相続が認められています。)。

 そこで、ご質問のように「私と妻の二人で築いてきた財産は、私が死ねばすべて妻のもの」としたいというご意向を実現するためには、本人が元気なうちに遺言書を作成しておく必要があります。

すべての財産を特定の人物に承継させる内容の遺言書を作成する場合には、遺留分(被相続人が有していた相続財産について、その一定の割合の承継を一定の法定相続人に保障するという制度のこと。)が発生しないかという点に注意が必要です。もっとも、この遺留分は、兄弟姉妹には認められていません(民法1042条参照)。したがって、ご質問にあるような親族構成の場合、夫婦が互いに、互いの財産をすべて相続させる旨の遺言書を作成しておくことにより、兄弟姉妹から遺留分の主張・請求がなされることを回避することができます。

 ただし、遺言は一定の方式が守られていないとそもそも無効と判断される場合があり、注意が必要です。また、現実の相続では、相続関係や遺留分のみならず、遺産の評価や生前贈与の有無・程度、寄与分などといった複雑な問題が絡むことがあり、さまざまなリスクを全体として検討できる視点が必要です。そのため、相続の相談には、普段から紛争解決に取り組み、何がどのように紛争(揉め事)につながるかを理解している弁護士が適任です。遺言書を作成する際には、ぜひ弁護士にご相談いただくことをおすすめいたします。