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詐欺的被害の拡大が明らかに!

「全国一斉投資被害110番」開催!
詐欺的被害の拡大が明らかに!

会報「SOPHIA」令和4年3月号より

消費者委員会 委員 宮  﨑   亮 

1 はじめに

 2月25日、当会会館において、当会及び名古屋投資被害弁護士研究会との共催で「全国一斉投資被害110番」が開催されました。先物取引被害全国研究会が全国的に実施を呼びかけ、毎年開催されているものです。
 当日は相談員が休む間もないほど電話が鳴り続け、非常に多くの相談が寄せられました。投資被害、特に詐欺的な被害が広がり続けていることを裏付ける結果となりました。

2 現在の投資被害の実態について

 現在の投資被害は、商品先物取引被害や証券取引被害といった典型的な投資被害だけではありません。スマートフォンやSNS利用の普及・副業の流行を背景として、情報商材による詐欺的被害やいわゆる「国際ロマンス詐欺」も急増しています。
 下記の図のとおり、国民生活センターにおいても詐欺的被害の相談が急増しています。

ロマンス被害.jpg
 なお、「ロマンス」と呼称されていても、実際には恋愛と無関係なまま被害にあう(SNSを通じて「投資」の話題ばかりしていた)ケースも多くあります。

3 110番の集計結果

 相談件数は合計42件であり、その内訳は商品ファンド等・FX取引等・情報商材詐欺・○○必勝法が各1件、株式取引等が4件、未公開株商法が3件、仮想通貨が12件、その他詐欺的金融商品が19件でした。仮想通貨の相談も実態は詐欺的被害の相談なので、結局、約4分の3が詐欺的被害の相談でした。
 相談者の年齢層は、20代から70代まで概ね均等になっていました。 
 被害金額は、約4分の3が500万円未満でしたが、5000万円を超える被害もありました。

4 110番を踏まえて

 110番の結果、若者から高齢者まで広い世代にわたって詐欺的被害が拡大している実態が改めて明らかになりました。背景には、何よりもSNS(被害者とつながる)や仮想通貨(被害者から財産を領得する)等の匿名性の高いツールが急激に普及していることがあります。弁護士が被害回復を図ろうとしても、匿名性の高いツールによって加害者が秘匿されてしまい、加害者の特定すらできないことがあります。
 さらに、4月1日には成年年齢が引き下げられます。このままでは若年者への被害が増加し、詐欺的被害の拡大を止められません。
 これ以上の詐欺的被害を生みださないためには、詐欺的被害の拡大に寄与してしまっているSNS業者らに対し、加害者の特定のための(社会的)責任を果たすよう求めていかなければなりません。110番によってその思いをより強くしました。