愛知県弁護士会トップページ> 愛知県弁護士会とは > ライブラリー > 中部経済新聞2020年4月掲載
新会長インタビュー 愛知県弁護士会会長 山下勇樹

中部経済新聞2020年4月掲載
新会長インタビュー 愛知県弁護士会会長 山下勇樹

新型コロナウィルスが猛威をふるっており心配ですね。

 新型コロナウィルスの感染拡大が社会生活に様々な影響を及ぼしており、とても心配しています。まずは一日も早い終息を心から願っています。当会ができることは限られていますが、あいち中小企業法律支援センターが中小企業の皆さま向けに電話相談を受け付けています。

そのときどきの社会の法的需要にも対応しようとしているのですね。

 そうですね。潜在化している法的需要も捉えて、いかに弁護士、また弁護士会がお役に立てるか、ということを常に考えて実行していきたいです。

さて、新会長としての基本的な思いは何ですか。

 弁護士法には、弁護士は「基本的人権の尊重と社会正義の実現」が使命であると謳われています。この使命を具体化すべく、これまでの実績を踏まえ実践を積み重ね、また、法律の専門家集団として立憲主義の堅持に努力すべきだと考えています。また、繰り返しになりますが、社会の法的需要には的確に応えていきたいと思っています。

憲法について、どのように考えますか。

 憲法は国の最高法規として、国家権力をコントロールしてその濫用を防止して、もって国民の自由と権利を保障しています。憲法に基づく政治、すなわち 立憲主義は、堅持されなければなりません。この観点からすると、安全保障関連法の成立過程、憲法53条に基づく臨時国会召集請求が無視されたこと、公文書の隠蔽・廃棄・改竄、検察官の定年延長問題等、憲法が想定する国家運営や民主主義の根幹である国民の知る権利がないがしろにされていると感じています。社会全体が異なる意見について不寛容になっていることも含めて、立憲主義、民主主義が危うくなってきているとの懸念を有しています。

弁護士会の対応は?

 当会は、法律の専門家集団として、またその使命からも、国民の皆さまに立憲主義の重要性をお伝えし、憲法改正問題も含めて、憲法を考えるための情報を提供し、議論を深めるように努めていく必要があると考えています。

弁護士会から読者向けのサービスについて伺えますか。

 まずは先程ご説明した「あいち中小企業法律支援センター」があります。それぞれの地域の経済や雇用を支えている中小企業のみなさまに対する総合的な法律支援を行うことを目的に設立されました。電話での無料法律相談をきっかけにして法的問題の解決のお手伝いをします。商工会議所、税理士会等の団体や金融機関など関連組織との連携を図り、例えは事業承継問題などにも取り組んでいます。法律相談件数は毎年1000件程度あります。

盛況ですね。ほかに特に紹介したいものはありますか。

 社外役員候補者の名簿を準備しています。現在、環境・社会・企業統治に配慮している企業が重視されているようです(ESG投資)。企業統治(コーポレートガバナンス)を高めるべく社外取締役・社外監査役の登用を検討される企業のために、弁護士会として、社外役員になることを希望する弁護士の名簿を準備しています。男女共同参画社会の実現も重要課題だと考えますが、女性弁護士のみの名簿も準備しています。一定以上の弁護士経験を有し、かつ相応の研修を受講した弁護士を名簿搭載しています。お問い合わせいただければ、所定の手続を経て名簿を提供します。

ほかには。

 ほかにも多くのことに取り組んでいますが(詳しくはホームページをご覧下さい。)、「紛争解決センター」も多数ご利用いただいています。法務大臣の認証を受けた紛争解決機関です。医療紛争や建築紛争においては専門家の協力を得ています。手続も融通が利き、夜間や休日にも話し合いの日を設けたりできるので、紛争の迅速かつ柔軟な解決ができると評価されています。

行政との関係ではいかがでしょうか。

 行政連携センターがあります。自治体と協定を締結し、空き家問題や災害時における法律相談業務などに取り組んでいます。名古屋市とは先日、包括的な連携協定を締結しました。今後も多くの自治体と連携していきたいと思っています。行政機関との連携の強化を図ることで行政機関や地域住民に対する法的サービスの拡充を図りたいと考えています。

これまで話のあったサービスは広く市民に認知されていますか。

 このような法的サービスももちろんですが、弁護士、弁護士会による基本的人権の擁護と社会正義の実現のための活動を多くの人に知っていただきたいです。新聞広告、ホームページ、公式SNSなど工夫していますが、いかがでしょうか。公式キャラクター「ひまるん」も可愛がっていただきたいと思います。

最後に読者に一言お願いします。

 弁護士会から市民や企業の皆様に対し、役に立つ情報発信をもっと行い、皆さんの期待に応えられる弁護士会を目指して頑張ります。どうかよろしくお願いします。