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~会社法が一部改正~

中部経済新聞2020年12月掲載 ひまるん相談室
~会社法が一部改正~

【質問】

 会社法が一部改正されたと聞きました。改正の内容を教えてください。

【回答】

 会社法の一部を改正する法律が、令和元年12月4日に成立し、同月11日に公布されました。改正内容は、主に、⑴取締役に対する報酬の付与や費用の補償等に関する規定の整備、⑵監査役会設置会社における社外取締役の設置の義務付け等、⑶株主総会資料の電子提供制度の創設等です。このうち、⑴、⑵は令和3年3月1日から施行されます。

■⑴について
 これまで、上場会社等の取締役の報酬については、株主総会において取締役全員の報酬の総額を決め、具体的な配分は代表取締役等に委ねられ、取締役の報酬等の個人別の具体的な金額を明らかにする必要はありませんでした。

 今回の改正では、取締役の報酬を決定する手続の透明性を向上させ、また、会社が業績等に連動した報酬をより適切かつ円滑に取締役に付与することができるようにするため、上場会社等の取締役会は、取締役の個人別の報酬等に関する決定方針を定め、その概要等を開示しなければならないこととなりました。

 また、取締役の報酬として、当該上場会社の株式等を付与する場合には、株主総会決議により、付与する株式等の数の上限を定めなければならないこと、上場会社が取締役の報酬として株式を発行する場合には、出資の履行を要しないこととされました。

 その他にも、役員等の責任追及の訴えが提起された場合に、会社が費用や賠償金を補償する場合の手続、役員賠償責任保険に加入する場合の手続等についても、新設されました。

■⑵について

 これまでは、社外取締役の設置は任意でしたが、改正により、上場会社等は社外取締役を設置することが義務付けられました。上場会社等が、社外取締役によって監督されることによって、社会的信頼を高めることが目的です。

 また、マネジメント・バイアウトや親子会社間の取引の場面など株式会社と取締役との利益相反状況がある場合等において、社外取締役が取締役会から委託された業務を執行しても、その後も社外取締役としての立場を失わないとして、社外取締役の活用に向けた規定が設けられました。

■⑶について

 株主に対して、株主総会の資料を自社ホームページ等のウェブサイトに掲載して提供することができる制度が新設されます。施行日は令和4年予定です。

 この他にも、社債の管理に関する規律の見直し、株式交付制度の創設等の改正がなされました。