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ひまるん相談室 ~建物収去土地明け渡し~

中部経済新聞2019年7月掲載
ひまるん相談室 ~建物収去土地明け渡し~

【質問】

 私は、所有している土地を貸し、土地の賃借人はその上に建物を所有しています。しかし、賃借人は、一年ほど前から賃料を滞納しています。賃借人が所有する建物を取り壊して土地を返してほしいと思っていますが、どのように進めていけば良いのでしょうか。

【回答】

 まずは、賃借人に対して、滞納賃料の督促を行うとともに、滞納賃料を期限までに支払わなかった場合には、賃貸借契約を解除する旨の通知をしましょう。この通知は後々裁判になった場合のことを考えて、配達証明付き内容証明郵便で送ります。

 期限までに滞納賃料が支払われなかった場合には、建物を収去して土地を明け渡せという裁判を起こします。建物収去土地明渡しの裁判で勝訴したにもかかわらず、賃借人が任意に建物を取り壊して土地を明け渡してくれない場合、代替執行(本件の場合は、賃貸人が賃借人の費用で第三者に建物を取り壊して撤去させることをいいます)を行うために建物収去命令の申立て及び代替執行費用支払の申立てを行います。さらに建物収去命令の申し立てが認められた後、執行官に対し強制執行の申立てを行います。これらの申立てに並行して執行官とスケジュール等調整が必要になります。

 建物取壊しを行う際には、解体業者、浄化槽の汲み取り業者、ガス業者、電話業者等の手配、連絡が必要です。

 解体費用をはじめとして高額な費用になることが予想されますが、賃借人にめぼしい財産がなければ、最終的に賃貸人が負担せざるを得ないことになります。少しでも賃貸人の負担となってしまう金額を減らすためには、賃料の滞納が生じたときに迅速に対応した方が良いのですが、解除ができるかどうかは滞納期間やその他の事情などから判断が必要になります。強制的に土地を明け渡してもらえるかは、事案によりますので、お早めにご相談ください。また、強制的に明渡しが可能であっても、上記のとおり様々な申立てや業者の手配等が必要になりますので、こういった点からも弁護士にご相談されることをおすすめします。