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~認知症になったら後見申立て?~

中部経済新聞2019年6月掲載 ひまるん相談室
~認知症になったら後見申立て?~

【質問】

 友人から相談されたのですが、友人の母親は80歳で、最近、認知症と診断されたそうです。認知症になったら後見申立てをしなければいけないと聞いたのですが、今すぐにでも、後見申立てをするよう勧めた方がいいでしょうか。

【回答】

 ご家族が認知症になった場合でも、ご本人やご家族にとって、後見申立てが本当に必要かどうか、検討してから申し立てましょう。

 認知症のように、判断能力がない人をサポートする制度として、成年後見制度があります。後見申立て、正確には、「成年後見人選任申立て」といいますが、家庭裁判所において、成年後見人を選任する手続きです。選任された成年後見人は、被後見人であるご本人(この場合は、ご友人のお母さま)の財産の管理・処分や契約の締結などを行うことになります。

 後見人には家族が選任されることもありますが、被後見人の財産が多い場合などには、弁護士や司法書士などの専門職の後見人が選任されることもあります。

 一度、後見人が選任されると、原則として、被後見人が亡くなるまで、後見人による財産管理は続きます。

 ご友人のお母さまが、不動産の売却を考えている場合や、相続問題が起きている場合などには、後見申立てを利用する必要があります。一方で、そのような事情がないときには、後見申立てをする必要がない場合もあります。

 後見申立てが必要かどうかは、ご本人やご家族の事情によって異なりますので、ご友人には、弁護士に相談することを勧めてあげてください。