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令和初の「女性の権利110番」が 実施されました

会報「SOPHIA」 令和元年7月号より

両性の平等に関する委員会 委員 菱  田   優

1.概要

 6月28日、午前10時から午後3時まで、イーブルなごやにおいて、「女性の権利110番」が実施されました。

 「女性の権利110番」とは、男女共同参画週間(毎年6月23日から同月29日まで)に合わせて、日本弁護士連合会と全国の各単位会との共催で行われる無料相談です。当会では、イーブルなごや相談室(名古屋市男女平等参画推進室)との共催で実施しており、面接相談(事前予約制)と電話相談を実施しました。

 面接相談は、弁護士だけでなくイーブルなごや相談室の専門相談員の方にも同席していただき、相談者の心理的なサポートも図りつつ、必要に応じて行政サービスの案内も行える態勢が整えられました。

 電話相談は、弁護士が単独で担当しましたが、法的な相談内容に応えるだけでなく、気持ちの整理が必要な方や心のダメージ等への支援が必要な方には、「女性のための総合相談」を案内する、すぐに支援が必要な方には、電話相談が行われている部屋で待機している相談員の方につなげる、という態勢で実施されました。

2.相談内容

 相談件数は電話相談が20件、面接相談が11件でした。

 相談内容は、夫婦関係23件(離婚22件、その他1件)、内縁・男女関係1件、女性に対する暴力6件、労働問題1件、その他(親子関係、相続等)5件でした(複数回答あり)。

3.電話相談を担当してみて

 私が担当した電話相談の内容は、母親が離婚を検討しており、その場合の手続等について教えてほしいという娘からの相談でした。

 詳しく話を伺ったところ、母親が父親からの日常的な暴言に苦しんでおり疲弊していること、ただ母親は娘が就職するまでは離婚は避けたいと考えていること等がわかりました。そのうえで、将来的な離婚に備えて、離婚にはどういった方法があるか、その場合にかかる時間や弁護士費用等について知りたいということでした。

 私が相談をして感じたことは、電話相談は、実際に相談者を目の前にして行う法律相談と比べて、相談者の心情を理解することが非常に難しいということです。相談者の電話越しに伝わる音声を頼りにしなければならず、相談者がどれだけ困っている状況にあるのかを理解することが難しいと痛感しました。

 一方で、今回の相談者のように、弁護士に相談することにハードルを感じ、なかなか一歩前に進めない状況にいる方にとっては、気軽に相談することのできる無料での電話相談は意義のあるものだと感じました。今後もこうした取組が実を結び、弁護士への相談の心理的ハードルが少しでも下がれば良いと思いました。