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サマースクールは永久に不滅です!~2017年サマースクールを終えて~

会報「SOPHIA」 平成29年8月号より

法教育委員会 委員長 矢 崎 信 也

1 はじめに

 当委員会の柱事業は、学校講師派遣とサマースクールである。これは、従前広報委員会にあった両事業を行うべく平成17年に当委員会が設立された経緯からもうかがわれる。私は、前者を中心に活動してきており、前者が学校のクラス全員を対象とすることから、ボトムアップの側面があるのに対し、後者は受講希望の子どもたちを対象とするため、トップアップ(優秀な子どもたちをさらに伸ばす意の造語)の側面が強いと考えていた。特に、遊び盛りの中高生が、夏休みに敢えて申し込んでくるのだから、よほど真面目で勉強好きな子どもたちが中心なのだろうと。ところが、校長の開校挨拶の中で、毎日、参加理由を尋ねたところ、自ら積極的に申し込んだ子どもは僅かであり、ほとんどが親や学校、塾等の紹介で参加していたことが分かり、かかる印象は薄らいだ。
 
 

2 新企画誕生と従前企画の踏襲

 今年は例年と異なり、初の試みとして、初日を小学生対象の日とし、模擬裁判と新企画として福井弁護士会が作成した「憲法とアリとキリギリス」という題材を使用して、テーマ毎に劇と討論を繰り返す企画が行われた。このやり方は、子どもたちが飽きない手法であり、個人的には、今後何らかの形で踏襲したいと感じた次第である。模擬裁判は、即時取得がテーマとなったが、事前に制度の説明を行わずに実施した影響もあり、全問題で結論が分かれる素晴らしい結果となった。法律という概念にとらわれすぎて、正解が複数あるという法教育の根幹を見過ごしているのは、むしろ弁護士側かもしれないと痛感した。
  また、2日目は、例年どおり体験講座が行われ、好評を博した。弁護士に挑戦は、全弁護士が勝利するという大人げない結果となったが、今後は時間制限や生徒側へのフォローの仕方等を工夫していきたい。ここだけの話は、3庁の代表がいずれも素晴らしく、完全に参加者の心を捉えていた。クイズ選手権では、漫才を導入したり、司法試験に挑戦など工夫を凝らしており、そのアイデアには例年脱帽である。ティーンコートは、毎年ながら、大人では思いつかない柔軟な解決が提示され、法教育の醍醐味を感じさせてくれている。
  最終日は、中高生向け模擬裁判。小学生向け模擬裁判でもアリキリでも感じたが、出演者の演技力は素晴らしい。リハーサルを見学して分かっていても、思わず笑ってしまうシーンが随所に見受けられた。終了後の写真撮影会は出演者全員がタレントさながらである。終了後に悩んだ人に挙手してもらったところ、ほぼ全員が手を挙げた。今年も大成功である。

3 サマースクール概況

 本年度は、定員総数が340名のところ、申込総数278名、実参加数260名と盛況であった。特に小学生企画や中高生の法廷見学付模擬裁判は、募集開始早々に定員が埋まるなどうれしい悲鳴が上がった。これは、夏の恒例行事としてリピーターがいることや、新聞記事・チラシ等の従前の広報の効果はもちろん、今年はHPを刷新したことに加え、「広報なごや」への掲載や委員の尽力により大手学習塾がチラシを配布してくれるなど、多方面への呼びかけが功を奏した結果である。
  広報については、お金がかかる広告とその他の広報の効果を可能な限り分析し、次年度に繋げていきたい。

4 来年に向けて

 サマースクールは、弁護士にとっても若手のうちから会務の楽しさに触れることができる素晴らしい企画である。この良き伝統を踏襲しつつ、会務を循環させるためにも、全ての点で世代交代を進ませながら、ベテランと若手とが協力できる体制を考えていきたい。
  ということで、校長が変わろうが、サマースクールは永久に不滅である。