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「キャプナ弁護団」から「子どもサポート弁護団」になりました。

子どもの事件の現場から(171)
「キャプナ弁護団」から「子どもサポート弁護団」になりました。

会報「SOPHIA」 平成29年9月号より

子どもサポート弁護団 事務局次長 粕 田 陽 子

子どもサポート弁護団」というとあまり馴染みがないかもしれませんが、「キャプナ弁護団」といえば、ああ、あの児童虐待に対応する変わった(!?)弁護士の集まりのことね、と思い浮かべてくださる方もいると思います。キャプナ弁護団が昨年11月に改称して、子どもサポート弁護団になったのです。
 弁護団は平成9年に子どもの虐待防止のために活動する弁護士有志で結成され、今年が結成20周年です。市民団体CAPNAと協力・連携しつつ、独自の活動をしてきました。平成15年には愛知県から、平成16年には名古屋市から委託を受け、児童虐待問題に対応してきました。平成28年には、児童福祉法が改正され、児童相談所には弁護士の配置又はこれに準ずる措置を行うものとされ(同法12条3項)、名古屋市も弁護士を任期付公務員として採用したため、弁護団と名古屋市との委託契約は昨年より解消されました。もっとも、児童相談所における弁護士の必要性が認識された背景には、これまでの弁護団の活動が大きな影響を与えていると感じています。
 弁護団に所属する弁護士は愛知県下の各児童相談所から相談を受けたり、個別の事件について児童相談所長の代理人をしたり、時には被害者である児童から委任を受けて被害者代理人として活動したり、その後もご縁が続いて未成年後見人になったりしていますが、弁護団が行政から委託を受けるこの方式は全国でも一目置かれる方式です。児童虐待という、まさに子どもの人権が侵害されている問題について、児童相談所の顧問や職員ではなく、常に子どもの立場・視点から発言する弁護団の役割は非常に重要なものであると思います。本来的には児童相談所も子どもの福祉を第一に活動するものですが、時には児童相談所の職員と侃々諤々の議論になることもあります。
 また、最近では児童相談所からの相談だけでなく、児童養護施設や病院からも相談や連携の依頼があり、虐待問題に対応するのみならず、子どもたちの自立支援や未成年後見に関する相談も受けるようになりました。
 そこで、弁護団結成20周年を控えた昨年、これまで虐待対応のイメージの強かった「キャプナ弁護団」という名称から、虐待に限らず子どもたちを全般的にサポートしたいという意気込みを弁護団名称に乗せ、思い切って改称したのでした。
 児童虐待として児童相談所が対応するのは原則18歳までですが、子どもサポート弁護団では支援する子どもが成人に達しても、彼らが必要とする限りは、お付き合いが続きます。そんなことが本当に起こったのだろうかと耳を疑いたくなるほどの辛い経験をしてきた子どもたちも、ゆっくりと時間をかけて傷をいやし、新しい信頼関係を築き、成長していく過程があります。その過程では、支援する弁護士も学び、成長し、喜びを得ます。だから、子どもの事件はやめられない、となるのです。
 長く続いている弁護団ですが、情熱は冷めることなく、これからも新しい名称に名前負けしないように頑張っていきます。