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~地域包括ケアシステムと権利擁護~

第14回 高齢者・障がい者権利擁護の集い
~地域包括ケアシステムと権利擁護~

会報「SOPHIA」 平成28年11月号より

高齢者・障害者総合支援センター運営委員会 委員 小 堀 良 治

1 権利擁護の集い

 権利擁護の集いは、高齢者・障がい者の権利擁護に向けた取組として、毎年各地で開催されているものです。第14回である今回は、11月4日、広島市において、「地域包括ケアシステムと権利擁護」というテーマで開催されました。紙幅の関係で、簡単に内容のみをご紹介します。なお、地域包括ケアシステムとは、「地域の実情に応じて、高齢者が、可能な限り、住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、医療、介護、介護予防、住まい及び自立した日常生活の支援が包括的に確保される体制」をいいます(地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律第2条第1項)。

2 基調講演「地域包括ケアの推進と権利擁護の展開-地域に新しい「支え合いのかたち」を創造する-」

 大阪市立大学大学院生活科学研究科の岩間伸之教授から、上記テーマで基調講演があり、包括的な相談支援体制をめぐる政策的動向や、本人の生き方を尊重し、本人が自分の人生を歩めるように支えるという本人の自己実現に向けた取組を保障するものであるべき「権利擁護」の理念などについて講演がありました。

3 基調報告

(1)地域ケア会議出席報告

 地域ケア会議は、介護保険法第1条の目的を達成するため、同法第115条の48に基づいて各市町村において開催される会議です。
 今回、権利擁護の集い実行委員会の委員が、平成27年6月から平成28年9月までの間に、広島県及び広島県内の全23の市町で開催された地域ケア会議等に合計71回出席したことなどについて、報告がされました。報告の中では、弁護士が、高齢者等の尊厳を守り権利を擁護するという視座を有する法律専門家として、地域ケア会議に出席して適切な助言や意見を述べること等により、高齢者等の住み慣れた地域で安心して自分らしく暮らす権利の保障の実が上がるのではないか、といった指摘がされていました。

(2)広島県内の市町及び地域包括支援センターに対するアンケートの結果と分析

 また、権利擁護の集い実行委員会が広島県内の全23の市町(回答19)と全116の地域包括支援センター(回答74)に対して実施した地域包括ケアシステムに関するアンケート調査の結果等について報告がされました。

4 パネルディスカッション「地域包括ケアシステムのあり方とは?~住み慣れた地域で安心して暮らす権利を実現するために」

 最後に、上記テーマでパネルディスカッションが行われました。広島市健康福祉局高齢福祉部地域包括ケア推進課の荻原和宏課長からは地域包括ケアシステムの構築に向けた広島市の施策等について、広島市西区医師会の落久保裕之副会長からは西区在宅あんしんネット(いざという時の入院システムや、かかりつけ医・薬局・ケアマネジャーの連携システム等)について、広島県福山市に本部を置くNPO法人地域の絆の中島康晴代表理事からは地域包括ケアの実践のあり方について、公益社団法人認知症の人と家族の会広島県支部の村上敬子代表からは支援のあり方について、広島市牛田・早稲田地域包括支援センターの黒瀬将司センター長からは同地域の取組等について、それぞれご紹介やご意見の発表があり、コーディネーターの司会のもと、岩間教授を交え、活発な意見交換等が行われました。