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「全国一斉投資被害110番」報告~非常に多くのSNS詐欺被害の相談が寄せられました~
会報「SOPHIA」 令和6年3月号より
消費者委員会 委員 宮 﨑 亮
1 はじめに
2月22日、弁護士会館において、当会及び名古屋投資被害弁護士研究会との共催で「全国一斉投資被害110番」が開催されました。これは先物取引被害全国研究会が全国的に実施を呼びかけ、毎年開催されているものです。
今回の110番では20件もの相談が寄せられ、昨年度(43件)よりは件数が減少しましたが、相談内容を見ると、回収可能性が非常に低い類型(SNSを用いた投資詐欺事案。同事案では加害者側が匿名性を保持することができ、被告の特定すら困難です)の割合が増加し、また、被害額も1000万円超である事案が約半数を占めており、詐欺被害が深刻化していることが明らかになりました。
2 最近の傾向→SNS利用の詐欺被害の増加
現在は老いも若きもLINEやInstagramやFacebookといったSNSを利用していますが、メディアリテラシーが身についておらず、SNS上で流れる情報の真偽を見定められないSNS利用者も多くいます。そのため、SNS上で知り合った者から確実に利益が得られる投資の勧誘を受け、それにより詐欺被害に遭ったという相談が増加しています。
国民生活センターもSNS詐欺の事案が増えている旨の注意喚起を何度もしているところです(末尾掲載のチラシ参照)。
さらに、最近では、こうしたSNS詐欺の被害者に向けて、「弁護士に依頼すれば高額の回収が確実である」と誤信させるような弁護士業務広告をしていたケースも発生しており、当会も注意喚起をしているところです(当会HP「国際ロマンス詐欺等の案件を取り扱う弁護士業務広告にご注意ください!」参照)。
3 110番の集計結果
今回の相談(20件)の取引内容の内訳は[仮想通貨:7件、その他詐欺的金融商品:7件、FX取引:4件、株式取引等・未公開株商法:各1件]でした。しかし、相談内容を分析するとSNS詐欺が多くを占めていました。また、法律事務所による二次被害と思われる事案も3件含まれていました。
相談者の年齢層は30代以下1人で、あとは40代以上であり、被害金額は1000万円超が約半分を占めました。昨年よりも高年齢化し、被害金額も高額化していました。
4 最後に
昨年度よりも相談件数は減少したとはいえ、相談内容は回収可能性が非常に低いSNS詐欺の事案が大半を占め、被害金額も高額化していたり、二次被害の事案も含まれており、むしろ被害状況は悪化していると言えます。
この被害の背景には、SNS事業者が、多くの事例で弁護士会照会に回答せず加害者情報の秘匿に加担していることがあります。我々としては、SNS事業者の本人確認に関する法整備や、加害者情報の開示・保存に協力するよう引き続き求めつつ、詐欺被害の予防・救済に尽力していきたいと思っています。
(国民生活センター チラシより抜粋
https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20240124_1_lf.pdf)