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友好協定締結を経た11年目の交流
~晩餐会と共同セミナーを開催

光州地方弁護士会来訪
友好協定締結を経た11年目の交流
~晩餐会と共同セミナーを開催

会報「SOPHIA」 平成30年 11月号より

国際委員会 委員 小林 ゆき

1 はじめに

 11月8日~9日の日程で、韓国・光州(クァンジュ)地方弁護士会から崔炳根会長をはじめ18名の訪問団が当会を来訪されました。光州地方弁護士会と当会は、毎年韓国・光州と愛知県を交互に訪問して交流を深めており、今年で11年目となります。

2 歓迎晩餐会

 11月8日、光州からの訪問団を歓迎して、久屋大通庭園フラリエ内のレストラン「クアドリフォリオ」において、歓迎晩餐会が開催されました。

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歓迎晩餐会の様子

 歓迎晩餐会には、当会からも33名の会員が出席しました。かねてから光州地方弁護士会と交流を深めてきた当委員会の委員や昨年訪問団の一員として光州を訪問した会員らをはじめ、朝鮮女子勤労挺身隊訴訟などの事件に関わり韓国・光州を度々訪れ、同弁護士会の弁護士らとも親交が深い会員らなど、幅広い顔ぶれの会員が晩餐会に出席して、光州からの訪問団を歓迎しました。

 開会の挨拶として、当会の木下芳宣会長が挨拶をされ、続いて光州地方弁護士会の崔会長からもご挨拶をいただきました。その後、当委員会の中川真吾委員長と光州地方弁護士会の姜成斗国際委員会委員長から、それぞれ、晩餐会出席者の紹介がなされました。さらに、朝鮮女子勤労挺身隊訴訟など韓国とのつながりが深い当会の内河惠一会員からも、長年にわたる弁護団活動や韓国・光州との縁についてのエピソードが披露されました。また、光州地方弁護士会からは、内河会員ら朝鮮女子勤労挺身隊訴訟に貢献した日本の弁護士を表彰しようという活動に力を注がれた程仁基人権・国際理事から、活動のきっかけや内河会員らとの交流などについて語られました。

 記念品交換では、当会から光州地方弁護士会へ七宝焼きの羽子板が贈られ、同弁護士会からは漆で美しい鶴などが描かれた壺が贈られました。

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木下会長と崔会長

 さらに同弁護士会からは、昨年度の当会会長として光州を訪れ友好協定締結式に出席された池田桂子前会長をはじめ、両会の交流に貢献した当会会員らに対し、感謝の盾が贈られました。

 会場では、昨年光州で友好協定を締結した際の式典の模様などがスライド上映され、そこかしこで、再会を喜び、近況を報告し合う様子などが見られ、光州地方弁護士会と当会の縁や交流の深さを感じました。また、今回初めて顔を合わせて、英語、韓国語、日本語、ボディランゲージなどを織り交ぜながらコミュニケーションを楽しむ様子も見られ、今後の交流の広がりも感じることができました。

 晩餐会の後は、近くのお店で二次会も開催されました。予想以上にたくさんの方が二次会にも参加され、貸し切っていたスペースにありったけの椅子を運び込んでもらわなくてはならないほどでしたが、結果的には、相当人口密度が高くなった空間で、さらに濃密な懇親の機会を持てたと思います。

3 共同セミナー

(1)歓迎晩餐会から一夜明けた11月9日には、当会会館4階会議室において、恒例の共同セミナーが開催されました。今年は、「日韓の仮想通貨に関する法的問題」をテーマとして、当委員会と弁護士業務改革委員会電子取引・フィンテック部会との共催で開催しました。光州地方弁護士会の吳大韓弁護士、当会上記部会部会長の庄司俊哉委員が講師をされました。

(2)庄司委員は、「日本の仮想通貨の法的位置づけと現状の問題点」と題して、国内外における仮想通貨に関する法制化の経緯や、仮想通貨に関して裁判で争点となった法的問題点についてお話をされました。日本国内では、資金決済法が改正され、仮想通貨取引の利用者保護とマネーロンダリング対策を図るため、仮想通貨交換業者に対する登録制が導入されたことなどが紹介されました。

 また、仮想通貨の有体性や排他的支配可能性という問題に関して、トランザクションを分散共有し監視し合うというブロックチェーンの仕組みの特性や、近時の裁判例で示された見解をわかりやすく説明していただきました。光州地方弁護士会の会員らからも、「裁判例で示された見解を解釈すると、用いられている仕組みによっては仮想通貨交換業者に排他的支配可能性が認められ得るケースもあるのか」などの熱心な質問が飛び交い、活発な議論が繰り広げられました。

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共同セミナーの様子

(3)吳弁護士からは、「仮想通貨に関連する法的問題に関する検討」と題して、韓国における現状の法制状況や今後の課題についてお話しいただきました。韓国においては、現状として、まだ仮想通貨取引を直接的に規律する制度は存在せず、今後整備していかねばならない状況であるとのことです。既存の資金決済規制の枠内で仮想通貨取引の透明性確保を模索するだけではなく、電子的方法で発行・交換されるという仮想通貨の特性や、ブロックチェーン技術の仕組み、技術の進化もふまえた法制度の検討が必要であるとの見解も述べられました。

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共同セミナーを終えて

4 おわりに

 短い日程ではありましたが、今年も、晩餐会や共同セミナーを通じて、両会そしてそれぞれの会員らの間の交流が深まる有意義な機会になりました。