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「どうなっている?原発問題」
連続学習会(第1回)
「どうなっている?原発問題」
連続学習会(第1回)
会報「SOPHIA」 平成29年1月号より
公害対策・環境保全委員会 委員 伊 東 正 裕
1 はじめに
公害対策・環境保全委員会では、今回、福島第一原発事故後の原発を巡る問題について、「『どうなっている?原発問題』連続学習会」を開催することとなり、その第1回として、元GEの原発技術者で原子力コンサルタントの佐藤暁氏を講師にお迎えし、原発事故被害、汚染水問題、廃炉作業の問題点等について講義していただきました。
2 開催の経緯
当委員会では、過去最悪の公害といわれる福島第一原発事故から5年以上が経った現時点においても、いまだ数万人もの方々が福島県内外に避難生活を強いられ、帰宅の目処が立たない方も大勢いるという現状をふまえ、過去の四大公害の規模をはるかに上回る被害を出し続けている福島第一原発事故を巡る問題について、①その事故の実態、汚染水問題、廃炉作業の問題点、②事故後に制定され、裁判での主要な争点となっている新規制基準の問題点、③事故後の原発裁判は何が変わったのか、④運転開始から40年を越える老朽化原発の問題点を各回のテーマとする連続勉強会を開催する運びとなりました(③④は次年度の開催予定)。
3 第1回学習会の内容
第1部「原子炉事故の影響」では、事故直後の混乱がいかなるものであったかにつき、実際の現地での体験などをもとにお話しいただきました。さらに、事故後、現在に至るまで続いている深刻な社会問題(避難生活、関連死等)について触れていただきました。
また、事故が我が国及び諸外国のエネルギー・原子力政策に与えた影響について説明いただきました。
第2部「汚染水問題」では、地下水量が多いという立地上の根本原因の存在や、ALPS(多核種除去設備)の価値について、その性能は評価できるものの、納入までに時間がかかってしまったために汚染拡大への対応が遅れたことの問題などの指摘がありました。凍土壁の効果やトリチウム問題などについても言及していただきました。
第3部「廃炉」では、事故後の廃炉作業に伴う問題点について、アメリカなどでは既に「廃炉」に関する技術は確立しており、費用や工期といったコスト面のステージにあることが紹介されました。
最後に、事故への対応として現在行われている各種の研究開発等のプロジェクトの中には、現実の事故処理との関連性に疑問を持たざるを得ないものが含まれている現状や、従来の原子力開発に代えて、今度は「廃炉」がビジネス化しつつある現状、そのために(仕事を残すために)、早期廃炉へのインセンティブが生じ難くなっている可能性等の指摘がありました。