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「SDGsは万能か?-地球の限界を防ぐ為に我々ができること」開催

法の日記念行事
「SDGsは万能か?-地球の限界を防ぐ為に我々ができること」開催

会報「SOPHIA」令和3年10月号より

広報委員会 記念行事部会 秋チーム長  室 田 真 宏

1 はじめに

 10月10日(日)、Zoomウェビナーを利用して、オンライン配信のみの形式にて、名古屋市と共催し、法の日記念行事を催しました。

 本年度は、大阪市立大学大学院経済学研究科の准教授である斎藤幸平さんをお招きして「SDGsは万能か?-地球の限界を防ぐ為に我々ができること」をテーマに、講演とパネルディスカッションをしていただきました。

 斎藤さんは、人類の経済活動が環境を破壊する「人新世(ひとしんせい)」の時代にあって、いかにこの危機を回避して、豊かな未来社会の道筋を創り出すべきかを論じた『人新世の「資本論」』で2021年度新書大賞を受賞しておられます。

2 第1部 斎藤さんによる講演

 第1部では、斎藤さんより気候変動に関してご講演をいただき、大量生産・大量消費・大量廃棄が前提では、幾ら技術効率化を進めても状況は改善されないこと、電力や道路といった「コモン」を国や企業ではなく市民全体で共有・管理すべきこと、そもそも大量生産・大量消費という生活が本当に豊かと言えるのか、手段が目的となっていないかといった内容を、世界各国の現状や取組を例にお話しいただきました。

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 特に、バルセロナのスーパーブロック、パリの車両制限速度時速30㎞規制、環境保全に関し政府の責任を認めたオランダの最高裁判決等の具体的な取組は、興味深く拝聴しました。

3 第2部 パネルディスカッション  

 第2部では、斎藤さんに加えて、当会公害対策・環境保全委員会委員長である藤川誠二会員にパネリストとしてご参加いただき、当会広報委員会・記念行事部会長である林友梨会員をコーディネーターとして、パネルディスカッションが行われました。

 藤川会員から、当会では環境問題は基本的人権にかかわる問題であるとの会長談話があることや、国内外の気候危機に関する訴訟活動の状況が説明されました。また、藤前干潟におけるごみ処理場建設に反対する市民運動に始まり、その計画撤回に加えてごみの分別回収が推進された話が紹介されました。また、斎藤さんからは、「コモン」といえる活動として、岐阜県石徹白村での村民による発電機の共同購入など、国内外問わず多くの取組が紹介され、今後我々が将来世代のためになすべきことの示唆が数多く含まれる内容となりました。

4 おわりに

 全プログラム終了後に、アンケートを実施したところ、視聴していただいた多くの方々から高評価を頂くことができました。

 視聴者数も350名を超え、多くの方に、基本的人権にもかかわる気候危機という喫緊の問題に対して考える機会を提供でき、法の日週間に相応しいとても充実した記念行事となりました。