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谷間ファーストで救済を!! ~修習給付金制度の残した2つの課題~

会報「SOPHIA」 平成29年12月号より

司法修習費用給費制復活緊急対策本部 委員  小 林 智 哉

1 修習給付金制度スタート!!  

 4月17日に改正裁判所法が成立し、司法修習生には、修習給付金が支給されることとなりました。  

 具体的には、基本給付金として一律月額13万5000円、必要に応じて住居給付金(上限3万5000円)及び移転給付金が支給されます。  

 そして、12月に司法修習を開始した第71期司法修習生より、修習給付金制度が適用され、制度の運用が始まっています。

2 残された2つの課題  

 修習給付金制度が開始されたことで、実質的に見れば、従来のいわゆる給費制が一部復活した状況となり、これまでの給費制廃止状態から一歩前進したことにはなりましたが、他方、①従来の貸与制と併用され、給付金で生活費を賄えない司法修習生には貸与金を貸し付けることとなっていて、支給される給付金額はなお不十分であり、また、②無給での司法修習を余儀なくされた第65期から第70期の法曹(いわゆる谷間世代。※旧第65期は給費を受給したので除きます[以下同様])への救済措置は講じられていません。  

 したがって、司法修習生の給費制問題については、今もなお、①給付額の適正化と、②谷間世代の救済という、大きな2つの課題が残されています。

3 院内集会開催  

 この残された課題に取り組むべく、第71期司法修習の開始直前である11月27日に、衆議院第二議員会館で、院内集会「修習給付金制度スタート!充実した司法修習と司法制度の充実・強化について考える会」が開催されました。  

 冒頭、日弁連の田村智幸副会長(札幌)より、裁判所法改正に至ったことは大きな成果だが、大きな課題も残った、これからの司法を担う谷間世代に負担を残したままにすることは、改正裁判所法の趣旨である司法の充実・強化に逆行する、との指摘がありました。  

 また、この院内集会には、国会議員本人出席23名、代理出席89名と、合計112名もの国会議員が参加していただきました。  

 出席していただいた国会議員からは、この残された2つの課題について改善するべきであるとメッセージをいただき、特に、②谷間世代の問題については、一年違うだけで給付を受けられないのはあまりに不公平だ、修習給付金を取り戻す活動をした谷間世代を置き去りにするのは正義に反する、といった熱い声が上がりました。  

 こうした国会議員からの熱いメッセージを受けて、日弁連司法修習費用給費制存続緊急対策本部の新里宏二本部長代行(仙台)より、多くの国会議員から賛同いただいたので、谷間世代の不公平是正に向けて頑張らないといけない、この院内集会は、谷間世代救済に向けたキックオフの集会になった、今後も頑張って活動を継続していきましょう、との力強い挨拶がありました。

4 谷間ファーストで救済を急げ!!  

 前述の通り、司法修習生の給費制問題については、今もなお、2つの課題が残されたままですが、第65期の法曹のうち、貸与金の支給を受けた人は平成30年7月から貸与金の返還を迫られますので、②谷間世代の救済までに残された時間はあとわずかです。  

 そこで、当対策本部は、日弁連と共に、早急に谷間世代の救済を実現するため(給付額の適正化問題も引き続きやります!)、これからも、元気に、粘り強く活動を継続してまいります。