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法の日週間記念行事 「法の日」週間行事 模擬裁判開催!
会報「SOPHIA」 平成28年11月号より
広報委員会裁判見学ガイド部会 部会員 乾 亮 平
1 はじめに
10月25日、名古屋地方裁判所にて、当会、名古屋高等・地方裁判所及び名古屋地方検察庁の共催により、市民を対象とした模擬裁判が行われました。
本行事は、法曹三者が法廷にて模擬裁判を演じ、その後、市民の方々による模擬評議が行われ、最後に各庁により業務内容の説明が行われる、という流れで進行しました。
2 模擬裁判
まず、名古屋高等裁判所の裁判官が裁判官役、名古屋地方検察庁の検察官が検察官役、そして私が弁護人役をそれぞれ務め、法曹三者が揃って、傍聴席を埋めた市民の方々に模擬裁判を披露しました。この模擬裁判に向けては、参加される市民の方々に理解してもらいやすいよう、事前に出演者による詳細なリハーサルが行われ、その中で様々な意見交換がされるなど、三庁による入念な準備がされました。模擬裁判の内容は、「体育教師である被告人が、被害者に小突かれていた生徒を守るため、被害者に柔道技をかけて同人を投げ飛ばした」という事例につき、正当防衛の成否が争われるというものであり、私は、シナリオに従って、弁護人として必死で正当防衛の成立を主張しました。
3 模擬評議
模擬裁判の終了後、市民の方々による評議が行われました。評議は、3つのグループに分かれ、各グループに模擬裁判を演じた裁判官、検察官、弁護人が1人ずつ入り、進行役を務めるという形式で進行しました。私が進行役を務めたグループでは、正当防衛が成立するという立場からは、「被害者の証言だけで有罪にはできない」「被害者に急に胸倉を掴まれたのであれば、防衛行為を行う必要があったといえるのでは」といった意見があり、一方で過剰防衛であるとの立場からは、「被害者は小柄な上、飲酒によりふらついていた」「アスファルトの上で有段者が柔道技をかけることは極めて危険である」「関節技などの他の手段があったのではないか」といった意見が出るなど、双方の立場から活発な議論が交わされました。なお、評議を踏まえて評決が取られ、裁判官、検察官が進行役を務めた他の2つのグループでは、正当防衛が成立しないという立場が優勢であったのに対し、私が進行役を務めたグループでは、正当防衛が成立するという立場と成立しないという立場とが全く同数という結果でした。
4 業務説明
最後に、名古屋地方検察庁、当会、名古屋高等・地方裁判所の順に、各庁の業務内容の説明が行われました。当会の説明は、近藤雅樹会員により、事前に作成したパワーポイントを用いながら行われ、参加された市民の方々は興味深そうな様子で聞いていました。
5 まとめ
本行事には、20名を超える多くの市民が参加され、模擬評議では1人1人が主体的に発言されるなど、市民の裁判に対する関心の高まりを改めて感じました。また、三庁合同で行われた今回の模擬裁判は、市民の方々にとって、各庁の業務内容をより身近に感じていただける良い機会になったように思います。