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ティーンコート開廷

会報「SOPHIA」 平成30年8月号より

法教育委員会 ティーンコートチーム 小笠原   佑

1 8月1日、ティーンコートが開催されました。今年も多数の中高生に参加いただき、中学生を中心とする班と、中学生高学年から高校生を中心とする班とに分かれて、2つの法廷が開かれました。

2 今年は、高校1年生の加害少年が、同級生の被害少年による迷惑行為を注意したことをきっかけに口論となり、加害少年が被害少年を駅のホームの階段から突き落して全治1か月の右腕骨折の傷害を負わせたという事件を素材としました。  

 参加した生徒は、以上の素材を基に、裁判官役、検察官役、弁護人役の各チームに分かれ、弁護士が演じる被害少年や加害少年を尋問し、加害少年が再び過ちを繰り返さないためにはどうしたらよいか、検討していくこととなりました。

3 各チームは、開廷前に、それぞれのサポート弁護士とともに打合せを行います。加害少年役の私は、弁護人チームの打合せに参加し、弁護人の生徒から事情聴取を受けました。  

 この事件の裏には、事件の約1年前にあった両少年の自転車同士の衝突事故で加害少年の大切な腕時計が壊れてしまった話や、加害少年がこっそりアルバイトをしていた話、実は被害少年が成績優秀な加害少年に一種の憧れを抱いていた話など、様々な事情が存在しました。生徒は、そうした事情を聴き取って、少年にとって有利な情状が無いかを自分の頭で考え、言葉にし、私が演じる一癖も二癖もある厄介な加害少年から、しっかりと事情聴取することができていました。  

 生徒たちがみんな、真剣な眼差しで、加害少年や被害少年に対し、打合せで聴取した事項を踏まえ、自らの言葉で一生懸命に質問している姿が印象的でした。

 特に、「アルバイトをしていることを学校にばらすと脅され、ついカッとなって胸を押してしまった」との加害少年の言葉に対して、検察官役の生徒から「担任の教師にアルバイトをすることについて許可を得ていたにもかかわらず、どうしてばらされると言われてカッとなったのですか」と、受け手が一瞬たじろぐほど鋭い質問が出てきたことには驚きました。  

 注目の処分内容は、自転車事故の件も含め、2人とも謝罪する、被害少年は事故で壊れてしまった加害少年の時計の修理代を弁償する、加害少年は被害少年に勉強を教えてあげる、加害少年は被害少年の怪我が治るまでの間、介助してあげるなど、公平性に配慮した優しさ溢れるもので、心が洗われました。

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4 参加した生徒からは、「一つの物事を様々な視点から見て意見を交わすというのはとても難しかったけれど、普段はできない体験ができ、とても充実した楽しい時間となった」「弁護士という存在を身近に感じることができ、将来の視野が広がったかなと思う」といった感想をいただきました。  私は事件題材の制作にも携わったのですが、制作側が意図していた以上に、互いの立場を理解すること、そのための話し合いがいかに重要かということを生徒たちが実感してくれていたことを大変嬉しく思いました。