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Q&A
債権回収に関するご相談
>倒産する企業からの売掛金の回収
損害賠償請求に関するご相談
>介護事故が発生した場合の対応
雇用・労務に関するご相談
>メンタル不調を理由として休職する社員の解雇
>業績悪化時の整理解雇
事業再生・倒産・債務に関するご相談
>破産申立時の費用の目安
>代表取締役退任時の連帯保証人の交代
インターネット取引トラブルのご相談
>ネット取引で商品が届かない場合の対応
賃貸借に関するご相談
>建物老朽化を理由とするテナントへの退去要求
契約・商取引に関するご相談
>元請会社からの一方的な減額
>継続的な契約を解除したい
>ホームページ・SEO対策の契約を解除したい
フリーランスに関するご相談
>フリーランス新法とは
>フリーランスとの取引について
債権回収に関するご相談 |
>倒産する企業からの売掛金の回収
Q 弊社の商品を卸した先の会社が倒産してしまい、売掛金が残ってしまいました。同社に現預金は全く残っていないようですが、同社の倉庫内には、弊社の商品が他社の商品とともに保管されているようです。どうしたらよいでしょうか。 |
A 自社が売却した商品なら、買主の承諾を得て持ち帰ることができます。
しかし、他社が納入した商品を弁済に充てることは原則として許されません。
その他、契約条項の工夫など、事前の備えが重要となります。
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【詳細解説】
自分が売った商品については、買主からその代金が支払われるまでの間、その商品について、特別な担保権によって売主が保護されることになっています(これを動産売買先取特権といいます。)。その担保権が根拠となり、判例では、自社が売った商品を「正当な価格」で受け取った場合には、その行為は残代金の支払いを受けたもの(代物弁済)として有効であるとされています。ただし、いくら動産売買先取特権があるとはいえ、売主が勝手に買主の建物や敷地に立ち入ったり、無理やり商品を持ち帰ったりすることは違法となり得ます。そこで、買主の承諾を得て、かつ、合意解約による返品としてこれを持ち帰ることが最も穏当といえます。
他方で、この理屈は他社が納入した商品には当てはまりません。無理やりこれらを持ち帰ることはもちろん、たとえ買主の承諾を得たとしても、倒産状態のときに債務者が他社が納品しあ在庫商品を代金の代わりに提供する行為は、後からその効力が否定されてしまう可能性が高いといえます。
いずれにしても、倒産後の対応では万全の回収が難しいことは否定できません。そこで、このような事態に備えて、予め弁護士に相談して契約条項を工夫しておくなど、損害の最小化を図っている企業も少なくありません。
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損害賠償請求に関するご相談 |
>介護事故が発生した場合の対応
Q 高齢者介護施設において介護事故が発生した場合、どのような責任が生じますか。 |
A 介護事故が発生した場合の責任としては、①事業者の行政上の責任(許認可の取消し)、②介護事故を起こした職員の刑事上の責任(業務上過失致死傷罪)、③事業者及び当該職員の民事上の損害賠償責任、が生じる可能性があります。 |
【詳細解説】 ①行政上の責任は、当該介護施設を経営する事業者が取得した介護事業に関する許認可が取り消されたりすることです。施設の運営方法、設備、介護の人員などた介護事故の原因と判断されると、指定の取消し・停止などの処分を受けることがあります。
②刑事上の責任は、介護事故を起こした職員の行為が業務上過失致死傷罪(刑法211条)に該当すれば、5年以下の懲役もしくは禁固または100万円以下の罰金が科されます。この場合、施設の代表者の刑事責任が問題となることがありますが、事案を詳細に検討する必要がありますので、弁護士にご相談ください。
③民事上の責任とは、介護施設には適切に看護しなかった善管注意義務違反に基づく債務不履行責任(民法415条)と使用者責任(民法715条)、適切な看護を怠った職員には不法行為責任(民法709条)が成立する可能性があります。介護事故の具体的内容に応じて対応が異なりますので、弁護士に相談して適切に対応するのが望ましいと思います。
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雇用・労務に関するご相談 |
>メンタル不調を理由として休職する社員の解雇
Q メンタルヘルスの不調などを理由として休職をする社員を解雇したいと考えていますが、可能でしょうか。 |
A メンタルヘルスの不調等を理由とする休業を理由として解雇することは原告として許されません。 |
【詳細解説】 労基法19条は業務上の負傷・疾病により休業する期間及びその後の30日は解雇してはならないとされており、メンタルヘルスの不調等を理由とする休業を理由として解雇することは許されません。安易に解雇とせず、弁護士に相談されることをお勧めします。 |
>業績悪化時の整理解雇
Q 業績悪化又は悪化が予想されるとして従業員を整理解雇したいと考えていますが、可能でしょうか。 |
A 従業員を解雇することは、容易に認められるものではありません。会社の業績石が悪化したとしても、従業員の解雇には慎重に対応してください。 |
【詳細解説】 整理解雇は簡単に認められるものではなく、厳格な要件(①人員削減の必要性、②解雇回避義務、③被解雇者選定の合理性、④手続の妥当性)をすべて満たさないといけないとされ、これを満たさない整理解雇は解雇権濫用となり無効となりますので、注意が必要です。弁護士に相談されることをお勧めします。 |
事業再生・倒産・債務に関するご相談 |
>破産申立時の費用の目安
Q 会社の代表取締役を務めておりますが、会社の破産を検討しております。会社の破産に必要な費用を教えてください。 |
A 破産に必要な費用としては、①弁護士に依頼する費用、②裁判所に納める予納金が発生します。いずれも破産する法人の規模や債権者の数、債権額などによって変動するため、一概には申し上げることはできませんが、①については一般的な中小企業で50万円~、②については40万円~が必要になります。また、代表者の方も連帯保証債務がある場合があり、その場合には代表者の破産費用も必要となります。 |
【詳細解説】 破産を申し立てるためには、小規模な会社であっても通常100万円近い費用(①弁護士費用50万円~、②裁判所に納める予納金40万円~)が必要になります。そのため、ある程度資金がある段階で弁護士にご相談いただくことをお勧めします。
ただし、そこまでの資金がない法人の方でも必ずしも諦めなければならないかという訳ではありません。少額予納管財制度の適用を受けることができれば、②は20万円程度で収まります。
また、弁護士から各債権者へと受任通知を発送すれば支払いがストップしますので、支払停止後に売掛金を回収して破産費用を捻出することが可能なケースもあります。いずれにせよ、本当に資金繰りがどうしようもなくなってからでは、弁護士でも対応できない場合がありますので、お早めに弁護士に相談することをお勧めします。
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>代表取締役退任時の連帯保証人の交代
Q 信頼できる従業員に私に代わって代表取締役に就任してもらい、会社を経営し続けてもらうことにしました。私は、金融機関に対する会社の債務の連帯保証人となっているのですが、私が代表取締役を退任するときに、連帯保証人を辞めることはできますか。 |
A 金融機関との合意なく、代表取締役の退任を理由として、一方的に連帯保証人を辞任することはできません。
ただし、会社の財務状況が健全である場合など一定の要件を満たす場合には、経営者保証ガイドラインに基づいて、代表取締役の個人保証を外すよう金融機関と交渉することで、連帯保証人の辞任に応じてもらえる場合があります。
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【詳細解説】 連帯保証契約は、金融機関と保証人との間での契約です。このため、原則として一方当事者の意思のみで契約を解消することはできません。
ただ、平成25年12月に、全国銀行協会と日本商工会議所から、「経営者保証に関するガイドライン」(以下では、「ガイドライン」といいます)が公表されました(適用開始は平成26年2月1日から)。
このガイドラインに従い、①法人の業務、経理、資産所有に関し、法人と経営者との関係が明確に区分・分離されていること、②財務基盤が強化されており、財務状況及び経営成績の改善を通じ、法人の返済能力が向上していること、③金融機関に対し、事業計画や業績見通しなど、適示適切に財務情報が開示されていること、といった要件のすべて又は一部を満たした場合には、金融機関から、経営者の個人保証なしでの融資やすでに締結した経営者の個人保証の見直し(解除)を受けることができる可能性があります。
このガイドラインには法的な拘束力はありません。このため、最終的な判断は、金融機関に委ねられますが、ガイドラインは、中小企業、経営者、金融機関共通の自主的な準則と位置付けられており、金融機関もこのガイドラインを自発的に尊重し、遵守することが期待されています。弁護士が入ると交渉が円滑に進む可能性があるので、連帯保証人の辞任ができるかどうか、その見通しについて、弁護士へ相談するのがいいと思います。
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インターネット取引トラブルのご相談 |
>ネット取引で商品が届かない場合の対応
Q 商品を仕入れるためにネットショップで注文し代金を振り込みましたが、送付期限を過ぎても商品が届きません。売主にメールを送っても、一切返事がありません。どうしたらよいでしょうか。 |
A まずは通販サイトを通じて購入した場合には、商品未着の場合の対応のページを確認してください。売主業者に連絡を取ってくれたり、商品代金相当の見舞金支払制度などがある場合があります。
また商品購入代金がクレジットカード払いの場合で、2カ月以上、3回以上の分割払で、支払総額が4万円以上であるとき(リボルビング払いの場合3万8000円以上)には、クレジットカード会社に対し、今後の分割払の停止を要求できる場合があります。
気軽に注文できるのですが、万が一トラブルが発生すると、ネットショップからの購入の場合には解決が難しいことが多いのも実情です。したがってネットショップで商品を購入する場合には、万が一のトラブルがあるかもしれない、というリスクを前提に、慎重に取引を行うことを心がけてください。
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賃貸借に関するご相談 |
>建物老朽化を理由とするテナントへの退去要求
Q 弊社が所有するビルの一部をテナントとして小売店に賃貸しています。このビルは、ひどく朽ちたとまではいえないものの、それなりに老朽化してきたことから、改築を検討しています。ところが、この小売店が明け渡してくれなさそうです。退去させる方法はないでしょうか。 |
A 老朽化したというだけでは、立ち退かせることは難しいです。この場合、賃貸借契約の更新を拒絶して立退料などの条件を提示して話し合いを進めます。立退料の金額などが折り合わない場合は、調停や訴訟も視野に入れて交渉をします。 |
【詳細解説】 借り続けることを望んでいる賃借人を退去させるためには、賃貸人が賃貸借契約を解約して、その契約を終わらせる必要があります。しかし、賃貸人からの解約が法的に有効となるためには、借地借家法によって「正当事由」が必要とされています。
ここで、本件のように建物が老朽化したケースについて、判例の中には、老朽化が著しくそのまま放置すれば早晩朽廃してしまう場合は、改築の必要性が賃借人の建物を必要とする度合いよりも強いと判断したときに、賃貸人の解約の申入れについて正当事由があるとしたものがあります。この考え方からすると、まだ「放置すれば早晩朽廃してしまう」とはまではいえない本件では、そのままでは「正当事由」があると認められる可能性は高くありません。
そうなると、賃借人の理解を得るために、立退料などの条件を提示して、賃借人とよく話し合うことが第1次的な対応といえます。
とはいえ、賃借人が希望する額の立退料が常に必要ということではありません。条件について話し合いが折り合わない場合には、調停や訴訟の中で「正当事由」の有無が争われることになりますが、そこでは、老朽化の事情、双方の事情などを踏まえて、必要な立退料額も判断されます。
以上のように、話し合いや調停・訴訟では、立退料を含めた「正当事由」の見極めが重要となることから、弁護士への相談を含めた十分な準備が必要といえます。
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契約・商取引に関するご相談 |
>元請会社からの一方的な減額
Q 弊社(下請事業者)は元事業者に対して電化製品を納入しています。弊社は不備や不具合のない商品を納品したにも関わらず、元請事業者は一方的に代金の減額をしてきました。どのように対応したらよいでしょうか。 |
A 納めた商品に問題がないのに、一方的に代金を減額することは下請法に違反しますので、許されません。 |
【詳細解説】 元請負業者は発注者に決定した下請代金を「下請負業者の責に帰すべき理由」がないにもかかわらず発注後に減額すると下請法(下請代金支払遅延等防止法)第4条第1項第3号違反となります。親事業者が下請法に違反した場合には、公正取引委員会から違反行為を取りやめるよう勧告がなされますので、公正取引委員会と相談することが考えれます。ただ、下請法違反の要件に該当するかは専門的な判断を要しますので弁護士に相談ください。 |
>継続的な契約を解除したい
Q 私は個人で商売を営んでいますが、先日、事務用品を販売するセールスの人が来て、商品のセールスを受けました。最初は興味がないので断っていたのですが、長時間居座られて帰ろうとしないので、仕方なく契約をしてしまった。この契約を取りやめたいけど、できますか。 |
A 取りやめることはできません。個人が事業と関係なく取引をしたのであれば、消費者契約法によってこの取引の取消しが認められる可能性がありますが、個人であっても事業として取引した場合には消費は契約法は適用されないからです。 |
【詳細解説】 事業者は消費者ではないので、消費者契約法の保護を受けることはできません。 |
>ホームページ・SEO対策の契約を解除したい
Q 弊社はホームページの制作とSEO対策を併せて外注し、月々5万円程度の費用を支出しております。1年間の支払いを終えましたが、一向にホームページからの集客は増えません。支払期間はあと2年間残っているのですが、契約を解除して支払いを免れることはできるのでしょうか。 |
A 支払方法がリース形式の場合と、ローン形式の場合とで別に考える必要があります。
リース形式の場合、ホームページの制作やSEO対策のような業務(無形物)に対してリース契約を締結することはできないため、契約の無効を主張できる場合があります。
ローン形式の場合には、成果物であるホームページの契約不適合や、SEO対策の不十分さを指摘して解除できる場合があります。
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【詳細解説】 実際には、相手のHP制作会社も対策をしており、「ホームページ作成業務のリース契約」が設定されているケースはほとんど無く、「パソコン周辺機器」や「SEO対策ソフト」などにリース契約が設定されていることが多いです。このような場合であれば、「パソコン周辺機器」が暴利行為と言えるほどに高額であったり、「SEO対策ソフト」がまったく効力を有していないものであることを証明しない限り、支払いを免れることは難しいです。 |
フリーランスに関するご相談 |
>フリーランス新法とは
Q 2024年の秋からフリーランス新法が施行されると聞きました。今後フリーランスに業務を委託するにあたって、どのように対応をしなければならなくなるのでしょうか。 |
A フリーランス新法の施行後は、フリーランスに業務委託をする事業者は、原則として、書面等によって、取引条件を明示しなければなりません。
フリーランスへの業務委託に関する対応に迷ったら、弁護士にご相談ください。
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【詳細解説】 フリーランス新法では、業務委託を受ける、従業員を使用しない個人、あるいは1名の代表者以外に役員がおらず、かつ従業員を使用しない法人のことを「特定受託事業者」(以下では「フリーランス」といいます)と定義しています。
そして、このようなフリーランスに対し、物品の製造、プログラム、映像といった情報成果物の作成、あるいは役務の提供を委託する事業者は(以下では「委託事業者」といいます)、原則として、業務委託に際し、フリーランスが行う給付の内容、報酬の額、支払期日などの取引条件を、フリーランスに対し、書面や電磁的方法で明示しなければなりません。
これらの規制に違反した場合、刑事罰が科される場合もあります。
フリーランスに対する業務委託に際して、契約書がフリーランス新法に適合しているかどうかは、専門的な判断を要しますので、弁護士に相談ください。
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>フリーランスとの取引について
Q 弊社は法人ですが、フリーランスへの業務委託の際は、取引条件を書面などで提示すれば問題ありませんか。 |
A 従業員を使用している事業者や法人は、フリーランスへの業務委託の継続期間に応じ、事業者間取引の適正や、フリーランスの就業環境の整備のため、各種措置を講じることも求められます。 |
【詳細解説】 委託事業者が、従業員を使用している個人、あるいは2名以上の役員がいる、もしくは従業員を使用する法人であった場合には、上記の条件明示義務のほか、事業者間の取引の適正のため、報酬支払期限が定められたり、広告等にフリーランスの募集に関する情報を掲載する際は、募集情報を的確かつ最新のものを表示しなければならず、また、フリーランスの就業環境整備のため、各種ハラスメント防止体制を構築することも義務付けられます。
さらに、業務委託が一定期間を超過して継続する場合には、業務委託の性質に応じ、報酬減額、買いたたきなどが禁止されるほか、妊娠、出産、育児、介護に対する配慮、業務委託契約の解約等に関する事前予告・解除理由の開示なども実施しなければなりません。
また、これらの規制に違反した場合、刑事罰が科される場合もあります。
契約書の内容や就業環境の整備などに迷ったら、弁護士にご相談ください。
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